365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月4日は天使の日。本日読むべきマンガは……。
『バベルの図書館』
つばな 太田出版 ¥638+税
本日は10(テン)+4(シ)で「天使の日」。語呂合わせ記念日のなかでも珍しい和洋折衷タイプだ。もはや、なんでもアリですな。
制定したのはトリンプ・インターナショナル・ジャパン。「天使のブラ」の1000万枚販売達成を記念して2000年に制定されたとのこと。
本当に“天使の羽根を素材にしたかのようなフィット感”なのかどうかは、筆者が男性のため知るよしもないが、美しい谷間を作るというコンセプトのブラが大ヒットした要因には、この秀逸なネーミングも大きく寄与したことだろう。
てなわけで、何がなんだかわからぬ理由で制定されてしまい、さぞや天使も困惑していると思われるこの記念日にオススメするのは、惜しまれつつも昨年休刊となった「エロティクス・エフ」に、2012年から2013年にかけて連載された、つばなの『バベルの図書館』だ。
紙に触れただけで、そこに書かれているすべての文章を読むことのできる特殊な能力を持つ中学生・渡瀬量は、作文の授業時に、同級生の相馬かなえが書いた400字を一言一句コピーして提出した。
悪ふざけととらえられ、先生から問いただされる2人だったが、天使の存在を信じる相馬は、渡瀬のことを“本当の世界へ行くための扉”だと認識。天使に見つけてもらうために奇妙な行動を開始する。
タイトルはホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説から。バベルの図書館に収蔵された本は、22文字のアルファベットとスペース、コンマ、ピリオドの計25文字しか使われていない。それだけで言語で表現できる一切のものが納められている。
そこには宇宙のすべてがあり、あらゆる書物の続きも存在するのだ。
元祖(?)『バベルの図書館』同様、幻想的かつ実験的な作品ではあるが、それほど難しく考えず、物語に身を委ねていればOK。クライマックスの受け取り方は読み手次第。
いずれにしても、これまで味わったことのない余韻が楽しめますよ。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしているライター。「ルパン三世ぴあ」に参加。10月にスタートするルパン新シリーズの友永秀和総監督にインタビューしました。