日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『シャッフル学園』
『シャッフル学園』第2巻
ホリユウスケ 秋田書店 ¥429+税
(2015年9月8日発売)
ラブコメで「ぼくとキミの心が入れ替わっちゃった!」というのは定番ネタ。
仕組みはわからないけど、ときめくよね。好きな子と入れ替わってみたいもんだ。
ところがこれがミステリマンガとなると、一転して恐怖のシチュエーションになる。
だれが殺人犯なのか、まったくわからなくなるからだ。
たまたま学校にまぎれこんだ、凶悪殺人犯。その犯人を上空から空間転移装置でピンポイントで学校から引き抜こうとしたところ、エラーが発生。
2年生の教室は、空間も人格もシャッフルされてしまう。閉じこめられた空間から出ることは、できない。
主人公の鈴森静馬(すずもり・しずま)は、自分がスポーツ少女の株本優(かぶもと・ゆう)に入っていることを知る。いっぽうで彼が片思いしていた少女の一見(ひとみ)かなでのなかには、猫の「センター長」が入っていた。
こうなると、ほかのクラスメイトの心が、だれに入っているのか、自分の身体がどこにあるのかさっぱりわからない。
自己申告で、入っているのがどの人格なのかを証して、混乱しないようにバッジをつける。とはいえ、100パーセント正直に申告しているという保証はどこにもない。ウソをついていても、証拠がない。
殺人犯がだれかに入っている可能性もある。でもそれを調べる術は、ない。
極限状況下での人格入れ替えは、普段では見られないキャラクターたちの心理状態が見られる。
たとえば今までいじめられていた少女・位高(いたか)あかりの人格は、いじめていた美人な少女・知識絢音(ちしきあやね)のなかに入った。容姿がすっかり変わってから、彼女は積極性を増した。
いっぽうで知識絢音の人格は別の体に入ってしまい、半狂乱で、自分の体を取り戻すために、自分の体に攻撃する。隠していた本来の性格がどんどん表に出てくる。
なかには、入れ替わったことで今まで溜めこんでいた性欲を表に出すキャラクターもいる。いつ死ぬかわからない限界状態で、しかもわけがわからない混乱状態なら、そうなるのも無理は無い。
2巻では生徒たちが次々に、秘めていた思いを吐き出しながら、死んでいく。だがまだ殺人犯は見つかっていない。
2巻冒頭にはクラスメイト一覧表(だれの体に、だれの人格が入っているか)が掲載されている。
コピーして、ペンで生き残りと死亡にチェックを入れながら読んでいくと、おもしろさ倍増です。
そもそもネコのセンター長のなかにはだれが……。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」