日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『勇者が死んだ！』

『勇者が死んだ！』第2巻
スバルイチ 小学館 ￥552+税
（2015年9月11日発売）

ネタバレ。
しょっぱなから、勇者が死にます。落とし穴に落ちて。

そもそも「勇者」ってなんなの？　職業なの？　エクスカリバー抜ければ勇者なの？
定義は曖昧なまま。まずは死んだ勇者をなんとかしなければと、村人のトウカは焦る。
とりあえず勇者の死体を埋めて、一段落。のはずだった。
ところが屍術師（ネクロマンサー）のアンリが、勇者の死体にトウカの精神を埋めこんだ。
かくして、太もも大好き変態のヘタレ勇者（ゾンビのトウカ）と、幼なじみのユナ、ちびっ子ネクロマンサーのアンリは、本来の勇者に代わって旅を再開するはめになる。

「勇者」という語に、この世界の住民はみな執着している。
町の人は勇者というだけでベタベタすりよってくる。
元勇者の仲間だったにもかかわらず、殺して自分が勇者になろうと狙うものも出てくる。
そんなに「勇者」って職業はいいものなんだろうか？

かつてはゾンビ＝まだ肉体がある状態だったから、ごまかすことができた。
ところが2巻では、時間が経って肉が腐り落ち、骨だけに。

しかし、1巻のトウカ（ゾンビ勇者）よりも、2巻のトウカ（スケルトン勇者）のほうが断然格好いい。
それは自分のなすべきことを見つけ、困難と戦おうとしているからだ。たとえトウカの魔力がゴミクズレベルであっても、知恵を使えばそれなりのことはできる。
死んでようが、身体がなかろうが、「勇者」という概念はこの作品に存在している。

トウカがふとももマニアなため、幼なじみのユナのサービスシーンも満載。全裸にしてもニーソックスを履かせる、そのこだわりやよし。
にしても、骸骨のあとこれ以上はないと思うけど……首や脳みそだけになっても、勇気があれば勇者と言えるんですかね。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」