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『双星の陰陽師』第6巻 助野嘉昭 【日刊マンガガイド】

2015/10/09


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『双星の陰陽師』


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『双星の陰陽師』第6巻
助野嘉昭 集英社 ¥438+税
(2015年9月4日発売)


異世界「禍野(まがの)」に生じて現世へ脅威をもたらす邪悪な存在「ケガレ」。
それを祓うエクソシスト兼ゴーストバスターな陰陽師たちの熾烈なバトルを描く『双星の陰陽師』最新第6巻が9月に発売された。

「このマンガがすごい!WEB」では、第3巻が出た時点の日刊マンガガイドもあるので、概要はそちらをあわせてお読みいただきたい。

第6巻は2年後へと時間が進み、主人公・焔魔堂(えんまどう)ろくろは高校に進学。
彼女がパートナーの化野紅緒(あだしの・べにお)ともども陰陽師として成長を続け、かつての仲間であり今は宿敵となった“ケガレ堕ち”の悠斗を追いかける資格があることを証明するべく、組織の審査にチャレンジする流れを中心に物語は展開する。

本作はバトル面ももちろん見どころだが、その盛り上がりを支えるキャラクターの人間関係も大事な要素だ。
ろくろと紅緒は1000年におよぶケガレと陰陽師の戦いに終止符をうつ運命の子どもを生み出すため、夫婦に「させられた」急造カップル。
最初は性格の違いやお互いの過去にちなむ確執からそりが合わなかったのが、激しい戦いをともにくぐりぬけるうち気持ちを通わせ本当のパートナーになっていく過程に、上質なロマンスの香りが漂っている。

このロマンス面の楽しみ方は、たとえば政略結婚だとか親の決めた許婚などをあつかった作品を並べるとわかりやすいだろう。
『ニセコイ』『らんま1/2』のような、“まず形から入って、あとで心が追いつく”関係を描いたドラマだ。
気持ちが無から有、0から1へジャンプするところがしっかり読みとれるので“ああ、このキャラクターの気持ちは本物なんだなー”と信頼性や説得力が増す仕立てである。

特にこの第6巻では、ろくろたちがふとした勢いでいっしょにお風呂に入ってドキドキな日常エピソードが番外編として収録。
形式的に結び合わされた2人が、いつのまにか本当の夫婦らしいことをしてみようと思うまでに気持ちが育ってきた現状が確認できる。

ろくろたちが互いのパワーを同調増幅させる技「共振」を使う戦闘パートに読みごたえが出るのは、2人の関係の動きをしっかり前提に敷いてあるからこそなのだ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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