日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『君とレモンの星』
『君とレモンの星』第1巻
かねもりあやみ 秋田書店 ¥429+税
(2015年9月16日発売)
すっぱいレモンを甘い飲みものに変えて、そのおいしさを教えてくれた、笑顔のかわいいあの子。
しかし次に会った時には、彼女の笑顔は消え失せていた――。
それは、地球が消滅して1,000年近くたった頃。
かつて人間の祖先が移住した星のひとつ「キト」にミラ・ケーティとその家族が住んでいた。
ある日、惑星ノアのレグルス王子が行方不明とのニュースが入る。
そしてミラは、自分の家のレモン畑で倒れている少年を見つけるが……。
SF仕立てのファンタジー世界を舞台に展開する、せつなくも胸に迫るストーリー。
幼く、無邪気だった頃に初めて出会ったミラとレグルス。
しかし時は流れ、2人が再会した時には、ミラは彼女を心から愛してくれた母親を事故で失っており、そのせいで深い自責の念にかられ続けていた。
そんなミラを想ってくれるレグルスだが、彼にも王族ゆえの家族の問題があり、2人はそれぞれの家族への葛藤を抱えて生きていることを知る。
ミラとレグルスの心のなかは、ある意味でとても対照的だ。その2人がこれからどうやってつながっていくのか、非常に興味深い。
また、エピソードは心温まるものからハードな事件まで非常に緩急に飛んでいて、飽きさせない。
哀しみのなかにも温かさが感じ取れるぶんだけ、さらに心に訴えかける物語となっている。
散りばめられた数々の魅力的な謎はどう解決されるか。また、ミラとレグルスの心の行方は――。
今後の展開に目が離せない。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」