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10月23日は津軽弁の日 『太宰治短編集 津軽』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/10/23


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

10月23日は津軽弁の日。本日読むべきマンガは……。


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『太宰治短編集 津軽』
太宰治(作) 山本おさむ(画) 小学館 ¥1,238+税


きょう10月23日は青森県の誇る方言詩人、高木恭造の命日。

1988年の10月23日からこの日は、青森市文化会館において青森県津軽地方で話されている「津軽弁」をテーマとしたイベント「津軽弁の日」が開催される。
主催は「津軽弁の日やるべし会」で、代表は伊奈かっぺい。イベントでは、青森県内外の一般層から募集した津軽弁に関する短歌、俳句、川柳や詩、あるいは体験記のなかから優秀な作品を選び、伊奈かっぺいを始めとする面々がもちろん津軽弁で朗読する。
徹底して津軽弁にこだわった一大イベントなのである。

「津軽」と言えば、文芸界において高名なのはなんといっても太宰治である。
文学書を出版する小山書店の依頼を受けて「新風土記叢書」の第7編として書かれた一種の紀行文である『津軽』は、ほかの様々な文献からの引用も多いが、こと太宰が実際に旅したと思しき部分は、たぶんに自伝小説的側面が強いとされる。

みずからも太宰治に強く傾倒し、いつか彼の小説をマンガにしてみたいと願っていたという山本おさむは、この“自伝小説的側面”に注目して、彼なりの『津軽』を前・中・後編にわけた中編マンガに仕立てあげた。
テキストはテキストのよさももちろんあるのだが、原典を尊重しながらも著者の卓抜した筆致で描く自然と津軽の人々の姿は圧倒的な質量として読むものを魅了する。
敬愛の心があるからこそ、太宰の『津軽』も山本おさむの『津軽』も、それぞれ輝いて見えるのだ。

原作の『津軽』三編を読む前に、著者が本作に対する想いのたけをつづったコラムがあるので、こちらもぜひご一読のほどを。



<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。

単行本情報

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