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『あずきちゃん なかよし60周年記念版』第1巻 秋元康(作) 木村千歌(画) 【日刊マンガガイド】

2015/11/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『あずきちゃん』


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『あずきちゃん なかよし60周年記念版』第1巻
秋元康(作) 木村千歌(画) 講談社 ¥490+税
(2015年10月6日発売)


講談社「なかよし」60周年を記念して行われたコミック復刻投票「名作総選挙」によって、懐かしの名作が続々と復刻中! 『きんぎょ注意報』(猫部ねこ)『ミラクル☆ガールズ』(秋元奈美)『だぁ!だぁ!だぁ!』(川村美香)『おはよう!スパンク』(たかなししずえ)etc……。
さて、90年代の「なかよし」といえば真っ先に思い浮かぶのは『美少女戦士セーラームーン』(武内直子)だろうか。同時期に連載されていた『あずきちゃん』は「セーラームーン」とは作風は真逆だが、そのリアルな恋模様が小・中学生女子の共感を呼び、根強い人気を誇った作品である。

小学5年の野山あずさ、通称“あずき”は、転校生の勇之助にひと目惚れ。
だけど背が高くてカッコよく、だれにでもフランクな勇之助くんはたちまち人気者に。特に、勝ち気な美少女・ヨーコちゃんが前のめりにモーションをかけまくるから、あずきちゃんはソワソワ。

慣れない恋心を持てあまして、いつも心がドキドキしっぱなしだというのに、そこにさらなる問題が。
親友のかおるちゃんが好きなケンが、じつはあずきのことを好きだと知ってしまい……。

ちょっとしたことで心が温かくなったり、不安でしかたなくなったり。
真剣さも揺れる気持ちも、大人の恋と変わりはない。ただ、席替えが一大イベントだったりするような状況設定、子どもっぽい子や大人びた子の入り交じり加減の描写がじつにリアル。あの頃の甘酸っぱい気持ちを思い出させられるのだ。

それにしても、みんなの前であっけらかんと「たまにはふたりで帰ろうよ」なんてサラッと言えてしまう、勇之助の大人っぽいというかマイペースというかちょっと天然なキャラ設定は秀逸だ。
全5巻と決して長くはないが、小学生から中学生にかけて大きくうねるドラマはまったく先が読めず目が離せない。

原作の秋元康は90年代後半、「りぼん」でも『ナースエンジェルりりかSOS』(池野恋・画)をヒットさせており、その才人ぶりに、今またあらためて驚かずにいられない。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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