日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『遙かなる時空の中で6』
『遙かなる時空の中で6』第1巻
水野十子 講談社 ¥581+税
(2015年10月7日発売)
人気乙女ゲーム『遙かなる時空の中で』もついに第6弾、そしてシリーズ15周年を迎えるという。
『遙か』シリーズは、龍神と意志を交わせるヒロイン「龍神の神子(みこ)」が時空を越えて様々な時代へと飛び、そこで神子を護る8人の男性たち「八葉(はちよう)」と出会い、運命を切り開いていく物語だ。
今度の舞台は、長い鎖国の後の御一新、大正を思わせる頃の帝都・東京。
浪漫の香り高い時代に現れた神子をめぐる波乱に富んだストーリーを、ゲームのキャラクターデザインを手がける水野十子が、今回も鮮やかにコミカライズしている。
高塚梓(たかつか・あずさ)は現代の女子高生。
だがある日突然、本人の意志とは無関係に、別の世界へと時空を移動してしまった。
帝国軍の参謀本部で目覚める梓だが、そこへ飛びこんできた謎の青年たち「鬼の一族」に連れ去られ、騒動のショックで気を失ってしまう。
そして再び梓が意識を取り戻した時、彼女は金髪碧眼の美しい青年、ダリウスに抱きかかえられていた――。
原作は歴史物で名の知られたコーエーテクモゲームスの作品だが、この『遙か6』も堅実な作りと丁寧なストーリー展開で定評がある。
キャラクターデザイン担当の著者が描くのもあって、ストーリー運び、キャラの見せ方、いずれも非常に的確という印象を受ける。
しかし、原作ゲームを知らなくてもご安心あれ。
ヒロインを取り巻く八葉たちは、それぞれに個性豊かなイケメンたちだ。
鬼の一族側では梓が戸惑うほどに甘い台詞を囁く美貌のダリウスに、大人びて言葉のきつい美少年・ルードハーネなど、どこか独特の、異国の雰囲気が漂うメンバーがそろう。
いっぽう、帝国軍側ではクールな隊長の有馬一(ありま・はじめ)、穏やかな副隊長の片霧秋兵(かたぎり・しゅうへい)と、どちらも軍服の似合う日本男児だ。
そのほかにも情報屋や謎の少年など、その立場や役割も様々で、読者にとってはまさによりどりみどり。
第1巻にはすでに全員が登場ずみで、特にダリウスにはヒロインとの胸ときめく場面もちりばめられている。
お眼鏡にかなったキャラを追いながら、どこか不思議な異次元の帝都で、恋と冒険の物語を堪能するのもよいのではないだろうか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」