日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『猫も、オンダケ』
『猫も、オンダケ』
和田ラヂヲ KADOKAWA ¥900+税
(2015年10月10日発売)
オンダケ? となった方、恩田家です。
父ちゃんと母ちゃんとサッちゃんこと幸子とター坊こと拓士の4人に猫のミィを加えた恩田家の日常を描いた4コマ作品。
和田ラヂヲの出生居住地である、愛媛県松山市が舞台になっていて、リアルな方言で交わされるリアルな会話と昭和40年代ののんびりと平和な空気が、ジワジワとしたおかしみを醸し出す。
大の巨人ファンでどこかすっとぼけたキャラクターの父ちゃん。仏像パーマにエプロン姿で家を新築したがってる母ちゃん。
男性アイドル・堂ひろみの熱狂的ファンのサッちゃん。算数が苦手なザ・小学生男子のター坊。
学級委員長の木下くんに学校のマドンナ的存在の中原さん、近所のヒッピーかぶれの正吉兄ちゃんにまじめなBG(ビジネスガール)のミドリちゃん……。
恩田家も彼らを取り巻く人々のキャラクターも、いたって平熱ながら「こういう人いたいた!」という絶妙なさじ加減。
昭和世代にはたまらない、ノスタルジックかつ失笑な小ネタも満載で、あえて「和田ラヂヲ版・ちびまるこちゃん」と呼びたい感じ。著者書きおろしコラム『愛媛と、オンダケ』も、ホッコリ~。
ずっとこの世界にただよっていたくなる。ぜひとも、続編希望! です。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69