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『修羅の門 第弐門』第18巻 川原正敏 【日刊マンガガイド】

2015/11/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『修羅の門 第弐門』


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『修羅の門 第弐門』第18巻
川原正敏 講談社 ¥448+税
(2015年10月16日発売)


堂々完結、である。
前作『修羅の門』から続く、陸奥九十九の戦いに、ついに幕が降ろされた。

海堂晃。
九十九が、果てしなき戦いの道につながる「修羅の門」を開く、そのきっかけを作った天才児が、物語の終わりに、ふたたび最強の挑戦者として立ちふさがる。

人は、敗北を知って、初めて強くなれる――そんな常套句がある。
海堂は、九十九との一戦によって「敗北」を知り、その上で、また、立った。

一方、陸奥九十九は、「不敗」をもって知られる陸奥圓明流(むつえんめいりゅう)の、継承者である。
体に流れる血が負けることを許さず、また、自身の心もそれを許すことがなかった。
そして事実これまで、空手、ボクシングヘヴィー級、総合格闘技と、あらゆる戦いの場において、幾多の激戦を乗り越え、勝ち続けてきた。

「敗北」を知った男と、「不敗」の男――真の強者は、どちらか。

『修羅の門』は、人と人の戦いを左右する「理」を、描き続けてきた作品だ。
「馬鹿」よりも強いのは「大馬鹿」、「修羅」の前に立てるのは「鬼」だけ……。
ただの身体能力や技巧の差だけでは埋まらない、決定的な何か。
人智を超えたところで駆動する、勝負の論理。
生死の境にある、不可思議な思考の領域を、描き続けてきた。

つまりは、「勝つべき者が、勝つべくして勝つ」、ということ。
最終巻においても、その描き続けた「理」は、歪むことがない。

「勝つべき者が、勝つべくして勝つ」――ともすれば、安易な考え方だ。
だが、その意味を、真の意味で、多くの人が理解できているのだろうか。

本当に、「勝つべき者が、勝つべくして勝つ」とは、どういうことなのだろうか?
その答えのひとつが、ここにはある。

ぜひ、あなたも目撃してほしい。



<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei

単行本情報

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