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『オールラウンダ―廻』第16巻 遠藤浩輝 【日刊マンガガイド】

2015/04/15


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『オールラウンダ―廻』第16巻
遠藤浩輝 講談社 \562+税
(2015年3月23日発売)


小学生時代に空手をやっていた経験から、格闘技の修斗を始めた高校生・高柳廻。
強引に参加させられた試合をきっかけに修斗にのめりこみ始めた彼と、周囲の修斗選手たちの戦いが丹念に描かれていく。

この16巻でまず描かれるのは、女子準決勝第2試合の延丘薫VS長嶺綾子。
ハードパンチャーの長嶺を前に劣勢となった延岡が繰り出したのは、柔道経験を活かした払い腰。寝技に持ちこむことに成功するも、打撃戦を得意とする長嶺は、ディフェンス重視の寝技で対抗していく……!

本作の特徴ともいえる、コマ割りの積み重ねで丁寧に描写される寝技の攻防戦は、変わらぬ緊張感を読む側に与えてくれる。結末まで目が離せない試合展開には、思わず目が吸いこまれてしまう。

続いて描かれるのは、男子ライト級準決勝での廻の戦いだ。
対戦相手は、廻を身長・体重・リーチで上まわり、さらにオールラウンダーと、互角以上のスペックを持つ香取舟。そんな自分の上位互換でもある香取を相手に、廻は苦戦を強いられる……かと思いきや、過去の経験をいかした空手技を放つなど、技術面で対抗。

今までの試合や経験で、廻の「選手としての地力」がしっかりとついてきていることを感じさせる、熱い攻防の数々は、早くも次巻が待ち遠しくなるラストの引きと合わせ、今巻の見どころといえるだろう。



<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton

単行本情報

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