日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『百合な私と悪魔な彼女(?)』
『百合な私と悪魔な彼女(?)』第1巻
もこやま仁 KADOKAWA/角川書店 ¥580+税
(2015年10月30日発売)
野々山やしろは、接触すると気絶するほどの、極度の男性恐怖症。彼女の初恋の相手は、幼い時に男の子のいじめから守ってくれた、ツインテールの女の子。
高校1年生になり、彼女の目の前に、その初恋の相手・西園寺みことが現れた。
ときめいてしまうやしろに、みことは深いキスをする。
すっかりメロメロになったやしろ。ところがみことの股間にサムシング。
みことは、男だった。
このマンガ、ちょっと設定が複雑。みことはいわゆる「男の娘」ではない。やしろにキスをしなければ、女体化してしまう、という設定。なのでトランスセクシャル<性転換>ものに近い。となるとタイトルのとおりに「百合」か? いやいやでもまだ今は男だし……。だがやしろは女の子が好きだし……あれ?
毎話、やしろとみことの濃厚なキスシーンが挿入される。舌が絡みあい、身体を抱きしめ、足がふれあう。とてもエロティックだ。
やしろは、みことに流されっぱなし。彼(彼女か?)のキスがこばめない。むしろ望んでいるふしすらある。 こうなると、みことが男でも女でも、どっちでもいい。むしろ「西園寺みこと」という存在とキスをすることが、彼女にとって重要だ。
途中、「男の子のみこと」をやしろが拒絶するシーンも出てくる。しかし1巻のラストで、「私の手を引っ張ってくれるのは 男の子でも女の子でもない みことちゃんだ」と気づく。
やしろが、みことの性別を気にしなくなったのに対し、みことは自分の性別にこだわり続けている。今後2人のすれ違いがどうなっていくのかが、見どころになりそうだ。
なんせ、マンガはずっとやしろ視点で、みことが何を考えているかは、1巻ではまだ何もわかっていないのだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」