日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『恋と嘘』
『恋と嘘』第3巻
ムサヲ 講談社 \429+税
(2015年11月9日発売)
「超・少子化対策基本法」。
満16歳の少年少女に、遺伝子などの情報からもっとも適したと思われる将来の結婚相手を通達するシステムだ。
いくら恋愛をしようとも、通達が来た時点で即将来のお相手決定。
高校1年生の少年・根島由香吏(ねじま・ゆかり)が好きだったのは、高崎美咲(たかさき・みさき)。
告白したところ、なんと両想い。ところが、気持ちが通じあったその瞬間、通達がきて、真田莉々奈(さなだ・りりな)と結婚しろという話に。
高崎さんとの恋愛はわずかな時間で終了。お疲れさまでした。
こんなことなら、片想いのままのほうがよかったのでは。
真田はピュアな美少女。最初はお互い微妙な距離感だったものの、いざ結婚相手だとなって2人でいる時間が増えるうちに、彼女もじわじわと根島のことが気になりだす。
そんなところに飛びこんできたのが、厚生労働省の特別講習会。
コンドームを渡されてセックスについての講義が行われ、実習へ。個室で一晩過ごすことになる。
「ヤれ」ってことです。
高校生男女に出された据え膳。けれど根島と真田もどうしたもんだか困り果てて、そのまま朝を迎える。
翌日、政府関係者と思われる男性に言われる。
「もうひとりのあの子とだったら お前 しただろ」
恋愛感情はきわめて抽象的で、大小の差のわからないもの。思い違いの可能性だってある。
「超・少子化対策基本法」が誤り、なんてことは言いきれない。
恋だと思っているものが勘違いかもしれないからだ。ましてや若いんだし。
けれどもいざというとき触れられないなら。ふとした瞬間に寂しくなるなら……。
自分が相手に対して抱く感情が“恋”かどうか、見極めなければいけない時は、やってくる。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」