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『背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~』第2巻 横田卓馬 【日刊マンガガイド】

2015/12/10


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~』


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『背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~』第2巻
横田卓馬 集英社 ¥400+税
(2015年12月4日発売)


ちょっぴり女の子が苦手で内気な主人公・土屋雅春(つちや・まさはる)は、高校入学を機会に競技ダンス部に入部する。
同じく未経験者の亘理英里(わたり・えり)とカップル(男女ペア)になり、2人は未知の世界へと踏みこんでいく。

いわゆる“青春部活マンガ”だが、その題材に競技ダンスをチョイスしたところが新しい。
競技ダンスとは「競技ダンスをスポーツにしたもの」であり、「男女2人ひと組が基本」という珍しいスポーツだ。けっしてメジャーとはいえない競技だが、初心者であるつっちーとわたりちゃんの視線を通じて競技ダンスの知識を深めていけるので、競技ダンスに対する知識はゼロベースで読み始めてもまったく問題ない。

帰宅途中、習ったばかりのステップを練習するつっちーとわたりちゃんの姿は、新しい世界の扉を開くときのドキドキとワクワクに満ちあふれている。

また、登場キャラクターがとても個性的なところも本作の魅力だ。
つっちーとわたりちゃんはかわいらしいし、八巻・秋子ペアはカッコイイし、理央先輩は美人でセクシーで、そしてなんといっても土井垣先輩の強烈さ! カリフラワーのような天然パーマに超マッチョな体格でおネエ言葉。そんな押しだしの強いキャラクターが「みっちりシゴいてあ・げ・る」なんて迫ってきたら、そりゃあ新入生は逃げ出します。

ちなみに2巻の巻末おまけマンガでは、土井垣先輩と理央先輩のなれそめが語られるので、こちらも見逃せない。

競技ダンスが「スポーツ」である以上、大会があり、試合がある。
最新2巻では、つっちーとわたりちゃんのペアが初めての大会に挑むことに。
緊張、達成感、後悔。大会前日から当日までの心理的な変化を丁寧に描いていくので、彼らの心情や精神的な成長が手に取るようにわかる。
ちっちゃい2人が懸命に努力している姿や、普段はビビリなつっちーが頼もしさを発揮するシーンは、胸を締めつけられるような思いだ。

スポーツマンガといっても、主人公の秘められた才能が爆発して超高校級の活躍をするとか、プロの世界に挑戦するといったノリは皆無。
もちろん競技である以上、勝つことを目標に努力するからこそ楽しいンだけれど、スポーツは勝てないからといってつまらないワケじゃない。
真剣に打ちこむ時間が、その日々が楽しいのである。

いくつになっても情熱に突き動かされて生きていたい。
思わず背すじがピン! となるような点では、まさしく「王道のスポーツマンガ」といえるだろう。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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