日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『女一匹シルクロードの旅』
『女一匹シルクロードの旅』
織田博子 イースト・プレス ¥1,200+税
(2015年11月15日発売)
マニアックなイメージがあるシベリア鉄道の旅を、パステルカラーのガーリーなイラストとほっこりあたたかな視点で綴った『女一匹シベリア鉄道の旅』の続編となる本作。
前回のゴールとなった中国からカザフスタン、ウズベキスタン、トルコへと向かう、シルクロードの旅が綴られている。
シルクロードといえば、筆者の世代だと80年代に放送されていた『NHK特集 シルクロード』というドキュメンタリー番組が思い出される。果てしない砂漠をラクダで行きかう人々のタイトルバック、石坂浩二のナレーション、喜多郎の音楽……。
当時まだ未開の異国だったシルクロードのエキゾチックな風景と人々の営みに、子どもながらに強い憧れを抱いた人はきっと少なくないはずだ。
著者もそんなひとりかどうかはわからないが、とにかくシルクロードには猛烈な憧れがあったようで、すっかり近代化された街にガッカリしつつも、随所でザッツ・シルクロードな異国情緒を発見してはワクワクする様子がほほえましい。
現地の人々との交流、ナン、プロフ、マンティ、バグラジャン……などの食べもの、バザールやモスク、などエキゾチックで美しい名所や建築……。
淡いパステルカラーで彩られた世界は、絵本の世界さながら。眺めているだけでうっとり、旅情をかきたてられる。
この人のイラストで、この人のやさしいまなざしをとおして、もっともっと知らない世界を覗いてみたい……。
ということで、お次は南アジア編あたりに期待!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69