365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
12月23日は東京タワーが完成した日。本日読むべきマンガは……。
『白泉社文庫 ぼくの地球を守って』第1巻
日渡早紀 白泉社 ¥619+税
12月23日は東京タワー完成の日。
1958(昭和33)年、東京都港区芝公園に完成した東京タワーは、高度経済成長をとげる時代の象徴のひとつといえるだろう。
2012年に東京スカイツリーが誕生し、電波塔としてのおもな役割を譲った今も、東京タワーは観光名所であり東京のシンボルであり続けている。
ノスタルジックなオレンジと白のツートンカラー、そしてライトアップされた夜の姿にしても、東京タワーはなぜかドラマティックな気持ちを呼びおこす。
少女マンガながら男性ファンも多い不朽の名作『ぼくの地球を守って』は、東京タワーが重要なキーワードとなる物語だ。
主人公の亜梨子(ありす)は、転校先の高校で、クラスメイトの男子2人のあやしげな会話を偶然に聞いてしまう。2人はなんと同じ夢を共有しており――夢のなかで彼らは別の人格を持つ“月基地”の科学者同士で、地球を観察しているのだという。
のちに、同様の夢を見た亜梨子がこれをおそるおそる2人に打ち明けたところ、夢に登場する7人の仲間のひとりに違いないと歓迎される。
彼らはオカルト雑誌の読者投稿欄を通じて残りの面々を見つけ出すのだが……7人は“前世”で流行病により悲しい最期を遂げていた。
7人は月基地のテクノロジーが地球人に悪用されることのないよう、一人ひとりがパスワードを登録し、秘密を守ったまま生涯を終えたのだが……。
地球人として転生した彼らが集まった意味は何なのか!? ひとりだけ年少の少年・輪がみんなのパスワードを探ろうと暗躍し、また東京タワーに執着する理由とは!?
登場人物たちにならい“前世の仲間探し”が爆発的に流行したほどの影響力を誇った大河SFファンタジーロマン。
カタルシスあふれるクライマックスの東京タワーの場面は、マンガ史に残る名シーンだ!!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」