日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ガヴリールドロップアウト』
『ガヴリールドロップアウト』第2巻
うかみ KADOKAWA ¥570+税
(2015年11月26日発売)
「だらしない女の子」キャラはかわいいと思う。
たとえば『アイドルマスターシンデレラガールズ』の双葉杏とか、『干物妹!うまるちゃん』の土間うまるとか。
魅力は、揺るがないマイペースさと、「やらない」ことに全力をつくす様、そして周囲のキャラとのズレたやりとりだ。
『ガヴリールドロップアウト』でのだらしなさは半端じゃない。
なんせ、部屋をかたづけず、Tシャツやジャージだけで、部屋でごろごろネトゲをやっているのは、本物の天使だからだ。
もともとは成績優秀だったガヴリール。人間世界に降りてきてからは、すっかりずぼらになってしまった。
人間たちの娯楽は、彼女には魅力的すぎた。
彼女は言いはなつ。
「私は天界には帰らない 外界でずっとこの生活を続けていく」
それ、堕天使ってやつですよね。
ダメ天使の、ぐうたら生活の見た目のかわいさよ。
金髪美少女が部屋でナマ足放り出している様は眼福です(1巻表紙を見てね)。
2巻では、彼女をとりまくキャラクターの関係が一気におもしろくなる。
世話焼きでガヴリールのことをいつも心配している、まじめな性格のツッコミ役の悪魔・ヴィーネ。
いつもハイテンションで、自分は大悪魔だと言ってはばからないわりに、天然ボケでいじられるサタニキア。
サタニキアのアホな行動をおもしろがって、ストーキングしてはいじめる、ドS系天使・ラフィエル。
悪魔の方が、よっぽど人間味があってマシな関係。なんでこいつらつるんでるんだろう。
「だらしなさ」は、周囲にまじめなキャラクターがいることで引き立つ。
一方ハイテンションでズレたキャラがいると、「だらしない」側のキャラがヒくので、ツッコミの役に回れる。
そのバランスが非常にうまい。ガヴリールのダメさが、周囲を引きたて、かつ引きたてられる。キャラクターは全員魅力的に見えてくる。
親友ではないのに、なぜかいっしょにだらだらいる関係。ぬるま湯で、たいへん気持ちがいいです。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」