日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『深い海からもんでキュー』
『深い海からもんでキュー』
黒田いずま 双葉社 ¥600+税
(2015年11月27日発売)
主人公・野不知(のしらず)ミヒロの設定が、このマンガのすべてだと思います。
「好き:揉ミュニケーション 苦手:コミュニケーション」
「揉ミュニケーション」とは、モミモミすること。
ミヒロは学校では、ぼっち。唯一の楽しみは、昔なじみの水族館でナマコをもみもみすること。
変態チックだが、会話を求めず触感による感覚共有にいやしを求める感覚。近年のむにゅむにゅ系もみグッズの売れゆきを考えると、それほどおかしなことではない。
ある日浜辺で見つけた白いナマコ。彼がこのナマコのモミ心地に感動した時、ナマコはキューという美少女になった。
その後はチョウチンアンコウ、メンダコなどが人間型に変化していく擬人化マンガとして展開する。
とにかくキューが無垢でかわいいうえに、胸からのキュビエ器官(ナマコの白い糸状の組織。外敵から襲われた時に出す)の放出、肌から出るサポニン(洗剤の原料になる、白色の物質。水にとけると石鹸のように泡立つ)など、ナマコならではのあるある(?)もおもしろい。
テンションの高いドタバタギャグ。登場人物が(擬人化した水棲生物含め)変人だらけ。
そのなかにおいても、ミヒロは徹底して「揉む」ことにこだわり続けている。
彼の「揉み」は、非常に丁寧で愛がある。
後半ある事件が起きて、ミヒロとキューも巻きこまれる。けれど彼は「揉み」のための道を選ぶ。
どんな出来事が起きようとも、「揉み」を愛し、それを貫く。
これぞ揉ミュニケーション道。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」