365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月2日は守護天使の日。本日読むべきマンガは……。
『大正浪漫探偵譚(ミステリィ)1 うしろの守護天使(ガーディアン)』
木原敏江 集英社 ¥505+税
カトリック教会では、今日10月2日を守護天使の日と定めている。
これもカトリック教会による定義であるが、守護天使とは神が人間ひとりひとりにつけた天使であり、守護する対象に善を勧め、悪を退けるよう、その心を導く存在と考えられている。
さて、ひとまず天使の話は置くとして。
ところは日本、ときは大正。当時としてはまだ珍しい自由恋愛で、身分を乗り越え結婚した夫婦がいた。
夫は私立大学教授の森山佳央里。妻は結衣という庶民出身の、明るく元気で少々好奇心が強すぎる女性だ。
この結衣の行くところに事件あり――というよりも、みずから首を突っこんでしまうというのが本当のところなのだが。
副題である「大正浪漫探偵譚」は「大正ロマンミステリィ」と読む。
この森山夫妻が探偵役となって、さまざまな事件を解決していくシリーズだ。
その第1巻である本書には4編を収録。
表題作「うしろの守護天使(ガーディアン)」は、結衣の友人である吟子をめぐってのストーリー。
吟子が名門・橘女学院の採用試験を受けた帰り道、行き倒れの青年を助け、なんと一緒に住むことになったと言う。吟子は婚約者のある身、いったいどういうこと!? とさっそく吟子の家に出かけていった結衣。
同居人となった松葉という青年はあまりにもみめうるわしく、結衣は仰天。
そして吟子と松葉のまわりで、次々に起きる怪事件。最初は偶然と考えていたがそうもいかなくなり、結衣は2人が勤める橘女学院に乗りこむ。
「守護天使」とはいったいなんなのか。そして怪事件の犯人はだれか……?
収録された4編ともに、ストーリー展開も謎解きも小気味いいテンポで進む。
脇役のキャラまで味のある設定やオチをつけてくれるのは、さすが花の24年組“ドジさま”ならでは。
ちょうど2時間ドラマの人気シリーズを見ているような気分で読み進められる一冊。エンターテイメント性の強いミステリーを好む方にお勧めしたい。
守護天使の話に戻るが、前述の定義によれば、つまりあなたのそばにも守護天使はいて、目に見えない形であなたを護り、導き続けているということになる。
表題作に登場する守護天使はちょっと肯定しがたい部分もあるが、自分も誰かに護られているのだと思いつつ今日1日をすごすのも、悪くはないだろう。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
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