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『ワンダーラビットガール』第2巻 廣瀬ゆい 【日刊マンガガイド】

2016/01/03


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ワンダーラビットガール』


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『ワンダーラビットガール』第2巻
廣瀬ゆい 集英社 ¥438+税
(2015年12月4日発売)


見た目と設定にだまされた。

兄の七海蓮(ななみ・れん)は、心を壊してしまった。
彼は、うわ言のように「ワンダーラビットガールが……」という。
そっくりな顔の弟・七海澪(ななみ・れい)は、兄の変装をして、「ワンダーラビットガール」にあたる少女を探すことを決意する。

……というミステリの体裁をとっているが、これは「性癖ギャグマンガ」だ。
エリート校のお嬢様たちを一人ひとり追っていく澪。ところが出会う女性がみな、特殊性癖持ち。
説教愛好(ハミロフィリア)、医療性愛(メディカルフェティシズム)、窃盗性愛(クレプトフィリア)、閉所愛好(クラストロフィリア)などなど。
ちなみにこれ、全部実在します。

澪は女子の性癖一覧をゲットしているので、彼女たちが内緒にしているその性癖を、ちょっとだけつつく。
すると女子たちは、自分の性癖を一気に解き放つ。

たとえば「鏡越し嗜好(エストペクトロフィリア)」の女の子。鏡のなかの自分を見ながら乳繰りあうのが大好きという性癖。
あまりにも重度なので、澪が彼女を鏡の前に連れていっただけで、もうあそこは大洪水。
しだいに彼女夢中になって、脳内で「鏡の国のアリス」になった自分の妄想を展開。澪のお茶会に参加した彼女は媚薬を飲んでイってしまう。「私が鏡で 鏡が私でーっ!?」
なお妄想なので、澪はなにもしていません。
「……これは重症だ」

こんな少女が次々出てきて、澪が性癖スイッチを押す→性癖大開花→「ワンダーラビットガールのこと知ってる?」→知らない、の繰りかえし。
あんまりにも女の子たちの性癖がド派手なのと、結局性的にはなんにもおいしいところをゲットできず放っておかれっぱなしの澪の境遇がおもしろい。

彼も思春期の少年なので、興奮している女の子を目の前にして、ドキドキしないわけがない。
ところが全員妄想の中で勝手にひとりで果ててしまうもんだから、途中からしだいに慣れてくる。
「見届けるしかない 君の生(イ)き様を……」

性癖大博覧会。かなりの変わり種ばかり。
そのなかに「あー、これちょっとわかるかも」と、グッとくる女の子、たぶんいるはず。たぶん。

お嬢様たちのイケナイ秘密の数々を楽しもう。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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