365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月7日は七草粥の日。本日読むべきマンガは……。
『ロマンチックください』
一条ゆかり 集英社 ¥388+税
1月7日は七草粥の日。
この日の朝に七草粥を食べるのは1年の無病息災を願って……また、お正月のごちそうに疲れた胃腸を休める意味もあるという。
スーパーや八百屋さんで売っている「春の七草」セット(すなわちセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)を購入すれば簡単! もっとも七草粥に入れる具は地域によって違いがあるようだが……ふだんはあまり使わないような食材を使うのはイベント感も高まるし、御利益ありそう!
さて、そこで紹介するのは、登場人物の名前が春の七草にちなんでいる少女マンガだ。
主人公は双子の美少女、すずな&なずな。おとなしいすずな、勝ち気ななずなと性格は正反対だが、共通するのは極度に男ギライなところ。
祖母と母、2人の姉と、家族は6人女ばかり。交通事故で亡くなった父の記憶は、仕事に明けくれてほとんど家に帰らなかったこと、ギャンブル好きで母とケンカしていたことなどいい思い出がない。
また、60代ながら今も映画評論家として活躍する祖母からも、かつては亭主関白に悩まされたと聞かされ育てば男ギライになっても仕方ない!?
ちなみに長女・はこべ(28歳)も男っ気なし。次女・せりはプレイガール風だが学生結婚→即離婚した経歴があり、男運がいいとはいえないかも?
しかし、すずなとなずなの男ギライはいささかいきすぎていて……将来を心配した祖母の一存で、2人はお嬢様学校から共学高校に転校させられることに。
幼稚園から女子校育ちでほとんど男子としゃべったことすらない2人だから、毎日が大騒動!
『デザイナー』、『砂の城』のようなシリアスなラブロマンから、華麗なるアクションコメディ『有閑倶楽部』など長きにわたり「りぼん」で活躍。
そして94年に月刊化した「コーラス」(現在の「Cocohana」)の看板作家として『正しい恋愛のススメ』、『プライド』といった“大人向けの少女マンガ”を手がけてきた一条ゆかり。
「りぼん」最後期の作品である本作は、女の子が夢見る甘い恋とコメディがバランスよく融合した少女マンガの結晶だ。
気のきいた会話の応酬といい、ファッショナブルな画面といいサービス精神旺盛で……一条ゆかりは単巻サイズの作品にも名作が多いとあらためて感じるのだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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