『死神ナースののさんの厄災』第1巻
麦盛なぎ マッグガーデン \617
(2014年6月3日発売)
時は昭和初期、舞台は全国一の規模を誇る結核患者専用サナトリウム。
そこには、受け持つ患者がひと月以内に次々と死亡することから、“死神ナース”と揶揄されるナース・野ノ崎のの(19歳)がいた。
もはや誰の担当もさせてもらえず、掃除婦まがいの雑用をする、のの。
それでも彼女がサナトリウムを辞めない理由は、4年前の弟の死にあった。
とある日の深夜、隔離棟に12歳の少年・左桂ツグミが収容される。そして、なぜかツグミの担当ナースに指名される、のの。
さて、このツグミ少年、読者が期待するとおり、ある秘密を隠し持っており……。
第1巻では、ツグミの秘密が早々にお目見えし、ツグミの担当が、なぜののでなければいけないのか……などの基本設定が明らかにされる。
一方、その出生や、主人公の弟の不審死など、今後に続く大いな伏線もはらんだ、完成度の高い「物語の序章」として楽しめる出来栄えだ。
昭和レトロ+サナトリウムという設定から漂う、妖艶な気配。
そして、椎名林檎を彷彿とさせるのののナース服姿と、そこから垣間見える胸の谷間や太もものチラリズム……。
(いろいろな意味で)身もだえ必至の、怪奇ミステリー作品だ。
<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。