夏の暑さを吹き飛ばしてくれるものといえば、やっぱり「ホラー」!
本日6月18日(土)から日本ホラー史上最大のコラボが実現した映画『貞子 vs 伽椰子』も公開と、夏が近づいてきたことも感じますねえ。
というわけで、今回は「このマンガがすごい!」編集部厳選のホラーマンガをご紹介しちゃいます!
日常に潜む不条理はいつしか不安を超えて恐怖に……
『不安の種+』第1巻
中山昌亮 秋田書店 ¥419+税
(2007年7月6日発売)
大人気ホラー漫画家・中山昌亮の代表作『不安の種+』。本作は、なんの前触れもなく人々のもとに『怪異』がふりかかる様を、描くオムニバス形式のホラーマンガだ。
実在する土地の名前が舞台となっているため、リアリティのあるストーリーが展開。なぜそんな「怪異」がおこっているかについての説明などは、まったくなし。もしかしたら、あなたの知っている――いや、あなたのすぐそばで『彼ら』が闊歩しているかも……?
読んだ者に「不安の種」を植えつける、ホラーマンガを語るうえで外すことのできない作品! 読まないと絶対、後悔するぞ!!
『このマンガがすごい!2015』オンナ編第1位作家が描く
ポップな絵柄の不可解な恐怖
『空が灰色だから』第2巻
阿部共実 秋田書店 ¥419+税
(2012年3月8日発売)
『ちーちゃんはちょっと足りない』で、『このマンガがすごい!2015』オンナ編第1位に輝いた阿部共実のショートオムニバス。10代女子を中心に、様々な人間の「うまくいかない日常」を描くオムニバス短編集の本作の第2巻には、屈指のホラー回「こわいものみたさ」が収録されている。
女子中学生・前園は極度のこわがりにして極度の怖いもの見たがり。
中3最後の思い出づくりのために、肝試しに出かけた前園たちは廃墟のなかでお札をベタベタと貼った扉を見つけてしまった……。
誰でも思い出しては「うわああーーーっ」と叫びたくなるような中学生時代の感傷やイタい言動を描いたビビッドなセンスで知られる著者のオムニバス作品の本作だが、その作品群のなかにシュールでよく考えると怖いこのエピソードがあること自体もちょっと怖い。
ラストの前園の言葉の意味をよくよく考えると、夜も眠れません!
正統派ホラーを現代の感性で描く良怪作
『死人の声をきくがよい』第1巻
ひよどり祥子 秋田書店 ¥552+税
(2012年8月20日発売)
別名義「うぐいす祥子」でも活躍中の正統派ホラー漫画家・ひよどり祥子。一躍ホラーマンガ界にその名をはせたこの作品を、取り上げないわけにはいかないだろう。
霊視能力を持っているために様々な怪異に巻きこまれがちな男子高校生・岸田純はある日、保健の女教師・吉本先生の背後に同級生の早川涼子が霊となってたたずんでいるのを目撃する。
なんだかんだでいつも早川の霊がそばにたたずむ(ただし、早川はしゃべらない)純は、数々の恐ろしい体験に直面する。
主人公の少年が幽霊をはじめ、生きている女性たちにもやっかいな目にあわされる作品で、ホラーもいきすぎるとコメディになるのか? と思わせるユーモアも感じさせるのが、この作品の現代性かもしれない。
ただし、登場するテーマは、まさに正統派ホラーというべき。題材選びはじつに秀逸だ。
“ホラーマンガ界の貴公子”が誘うSFホラーの世界!
『伊藤潤二自選傑作集』所収『長い夢』
伊藤潤二 朝日新聞出版 ¥1,000+税
(2013年6月20日発売)
「ホラー」というジャンルにおいて、この人の名前をあげないわけにもいかないだろう。90年代のホラーマンガブームを牽引した漫画家のひとり、伊藤潤二。
そのなかでも、1986年のデビューから10年、漫画家としての油ののった時期に描かれた短編「長い夢」は、伊藤潤二を語るにおいてかかせない1作だ。
とある病院の脳神経外科病棟に2カ月前から収容されている患者・向田哲郎は、ひと晩が数日に感じられるほどの“長い夢”を観るという症状に悩まされていた。
そしてその長さはどんどん数年、数十年と加速度的に長くなり、やがて彼の身体に異変が生じはじめる……。
現代ホラーマンガの旗手・伊藤潤二が発表した短編作品は、「夢」という本来は時間や空間の制限から解き放たれているはずの脳内現象が、現実の人間の身体に影響を与えたら? というテーマと「死の恐怖」をてんびんにかける異色ホラー。
変貌していく男性患者の描写ももちろんですがオチも秀逸なので、これまた眠れなくなる作品となりそうです。
ある日突然“愛の糸”が途切れてしまったら……
これからあなたに訪れるかもしれない暗黒の未来
『怖すぎる永井豪』
永井豪 徳間書店 ¥714+税
(2012年7月3日発売)
1967年のデビュー以来、』『デビルマン』『マジンガーZ』『キューティーハニー』など、少年たちの心を掴み続けてきた永井豪。
永井豪には、人間の本質に恐怖を見出す作品が多数ある。そのなかでも、子どもたちに最大の恐怖とトラウマを植えつけたといっても過言ではない、“最凶”の1本が「ススムちゃん大ショック」だ。
小学生のススムは学校に通う途中、公園でブランコにのって暇をつぶしていた。
公演のなかにはいつものように子ども連れのお母さんたちが優しくほほえみながら近づいてくる子どもを抱えあげる。なにげなくそれをながめていたススムだったが、次の瞬間彼は、驚くべき光景を目撃する!
良質なホラーマンガは時代を超えても怖い!ということで、なんと初出が1971年の「少年マガジン」(講談社)というクラシックホラーをご紹介。
子どもならずとも、足元が崩壊するような感覚は、絶対トラウマになること間違いなしである。
そして、なんと! 上の超怖くておもしろいホラーマンガが
全部一気読みできるアンソロジーが登場!!
『このマンガがすごい!comics この「ホラー」マンガが怖い!』
中山昌亮、阿部共実、伊藤潤二、ひよどり祥子、呪みちる、森野達弥、
うぐいす祥子、永井豪とダイナミックプロ、日野日出志 宝島社 ¥590+税
(2016年6月17日発売)
そしてなんと、ここまでご紹介したホラーマンガは、現在発売中のホラーアンソロジー『このマンガがすごい!comics この「ホラー」マンガが怖い!』にすべて収録されています。
上でご紹介した作品以外にも……
呪みちる『死なないで』
森野達弥『怪奇タクシー』
うぐいす祥子『フロイトシュテインの双子』
日野日出志『地獄の子守歌』
……と、しっかりあなたに「恐怖」をお届けする超充実ラインナップ全9組・合計11エピソードを収録。
今年の夏はホラーマンガで乗りきりましょう!