日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『モブサイコ100』
『モブサイコ100』第11巻
ONE 小学館 ¥552+税
(2015年12月4日発売)
物語が始まった当初は、どちらかといえば超能力を隠して生きる主人公・モブこと影山茂夫の日常パートが中心だった本作。
そのユルい画風ともマッチして、「なにかと不器用な中学生」の心情がじんわりくる物語でもあったのだが、「爪」編以降はかなりガチな超能力バトルマンガとして展開。
今やモブもすっかり達観した少年となり、超能力を悪用する無法の輩をたしなめるなど、ずいぶんな成長を見せている。
そして、じつのところクールに組みたてられた念動力のロジックなど、まっとうな超能力バトルとしての読ませどころもしっかりしていながら、「ここぞ」というところで“お約束”を逆手に取ったかのような脱力的展開にしてやられるのも本作の特徴。
前巻からガチバトルが継続していただけに、このままシリアス路線を突っ走るのかと思いきや、そう一筋縄ではいかないのがONE作品。
どこかクールかつシニカルな視点で、少年マンガというジャンルを再構築しているような気がしないでもない。
2016年にはTVアニメ化されることも発表された本作。
著者自身がかなり驚いている様子が単行本表紙カバー袖のコメントからうかがえたりもするが、絵のテイストも含めてどんなアニメになるのか、そちらも要注目。
とりあえず、まずは原作を読んで期待を高めておきましょう。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。