365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月11日は成人の日。本日読むべきマンガは……。
『orange』第1巻
高野苺 双葉社 ¥620+税
今年の1月11日は成人の日。
1999(平成11)年までは1月15日が成人の日だったのだが、翌2000年より実施された、いわゆる「ハッピーマンデー制度」によって1月の第2月曜日、つまり“その年の1月8日から14日までのうち月曜日に該当する日”が国民の祝日となったわけだ。
さらに細かいことを言えば、旧制度の時代は前年の1月16日からその年の1月15日に誕生日を迎えた人が祝う対象すなわち成人とされたが、新制度からは前年の4月2日からその年の4月1日に20歳を迎えた人がその対象に変わっているようだ。“ようだ”というのも筆者がこのところ新成人とまったくご縁がなくなったからにほかならず。
……上記の変化を知らない世代の読者もまあまあいらっしゃるのではないだろうか?
昨年(2015年)の「成人の日」は1月12日だったが、この時ばかりは長野県松本市の住民になりたかったマンガファンも多かったのでは?
というのも、平成27年度の松本市が開催した成人式式典パンフレットの表紙を、松本市を舞台にした青春マンガ『orange』の登場キャラクターたちが飾っていたからだ。
著者・高野苺の描きおろしによるこのイラストは、主要キャラクター6人が晴着を着て仲よく記念写真を撮った、というイメージ。市内中心を流れる女鳥羽(めとば)川にかかった「中の橋」という、ジモティーにはなじみ深いロケーションもそれらしくて、同企画は好評を博し、大成功を収めたと聞く。
土屋太鳳(つちやたお)と山崎賢人という朝ドラ『まれ』コンビの主演によって、今冬は実写映画化も成った『orange』は、松本在住の女子高生・高宮菜穂(たかみや・なほ)が2年生の始業式の日に、10年後の自分からの手紙を受け取ったことから始まるタイムパラドックスラブストーリー。
彼女は、その日出会うことになる転校生・成瀬翔(なるせ・かける)と恋におち、その翔はその年の冬にみずかららトラックの前に飛び出して亡くなるという“予言”に衝撃を受け、手紙のとおりに進行していく未来をなんとかして軌道修正しようと、4人の親友とともに奔走する。
翔の死は事故なのか? 自殺なのか? 自殺だとしたらいったい何が原因で? そして、菜穂たちに悲劇を止める力はあるのか?
タイムリミットまでの数カ月を、10年後と現在を行きつ戻りつしながらサスペンスあり、ラブロマンスありで描ききった全5巻は、『このマンガがすごい!』本誌をはじめ、この「このマンガがすごい!WEB」でもたびたび取りあげられたほど評価が高い作品として記憶に残る。
文句なしにおもしろいとオススメできる作品なので、未読の方は当サイトのリンクをお読みいただいて、手に取ってみてはいかがだろうか?
<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。『別冊宝島2394 仮面ライダー』や「仮面ライダードライブ公式完全読本」もやってます。