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『うさかめ』第1巻 ルーツ(作) 桐沢十三(画)ほか 【日刊マンガガイド】

2016/01/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『うさかめ』


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『うさかめ』第1巻
ルーツ(作) 桐沢十三(画) Piyo(キャラクター原案) アース・スター エンターテイメント ¥600+税
(2015年12月12日発売)


オビには「ありきたりな毎日≒かけがえのない日々」と書いてあるが、現在TVアニメ第7期放映中のナンセンスコメディ『てーきゅう』の公式ライバルなのだから、ありきたりなわけがない。

唐突に関係ないキャラやアイテムが出てきたり、ナチュラルに会話がつながらないルーツ節はこの作品でも健在だ。
まだ1巻しか出ていないのに、アニメ化決定。展開がはやい!

『てーきゅう』のライバル校・兎亀高校のテニス部が舞台。
話の中心になるのは、マイペース極まりない、かなりボケ度の高い少女、田中きなこ。お昼ごはんはへちま水、とよくわからない子。

ほかの部員も、極端に楽天的だったり、無表情で何を考えているか謎だったりと、とにかくまとまりがない。
変人たちのなかで、常識人の先輩・鈴木あやこがひときわ目立つ。
まわりの子たちはみんな、あやこを慕っている。
彼女は3年生。引退目前にして、同級生の佐藤くるみと、後輩の西新井大師西(にしあらいだいし・にし)は、あやことダブルスを組みたいと願う。

ずんだを飲む、廊下で騎馬戦をする、などのボケの応酬が全編にわたって続いている。
その上をつねに「今年でこの4人の部活は最後なんだ」という寂しさが横たわっている。

絵柄がしっとり落ち着いているのもあり、ハイテンションギャグを読み終わったあと、どうにもセンチメンタルな感触が残る。
何も考えていなさそうな彼女たち。しかしわざと明るくふるまっている様子も少しだけ見られる。

終わりがあるのを知っているからこそ、はしゃぎ方は全力になるというものだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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