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【『シトラス学園 バニラ』発売記念!】山本ルンルン インタビュー後編 好きなものをめちゃくちゃに詰め込んだ、ごった煮感が「ルンルンワールド」!?

2015/04/19


祝! 『シトラス学園 バニラ』刊行!!

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インタビュー前編では、『ないしょの話 山本ルンルン作品集』の創作エピソードや、『シトラス学園 バニラ』掲載作品を執筆していた当時のお話をしてくださった山本ルンルン先生。
そんな山本先生が、小さい頃に憧れていたもの、そして今でも憧れている漫画家など、漫画家としてのルーツにせまるインタビューがスタート!

10年以上、子ども向け新聞でのマンガ連載を続けているなど、漫画家として特殊な道のりを歩んでいる山本先生が、影響を受けてきたものって!?
宝島社から絶賛発売中の『シトラス学園 バニラ』&『シトラス学園 キューティ』を片手に読みたい、ファン必読のエピソード満載!

前編はコチラ!
山本ルンルン インタビュー前編 妄想の世界を舞台に日常で拾ったユーモアを描く

大好評! マンガ「シトラス学園」も試し読みができますよ!

山本ルンルン

1998年、「ガロ」(青林堂)でデビュー。
2000年、「CUTiE comic」(宝島社)で『シトラス学園』の連載を開始。2004年には「朝日小学生新聞」に連載した『マシュマロ通信』がアニメ化。
代表作に『ミス・ポピーシードのメルヘン横丁』『ないしょの話 山本ルンルン作品集』『はずんで!パパモッコ』など。

漫画家デビューは「ガロ」!?

――漫画家を目指したいと思ったのはいつ頃ですか?

山本 小さい頃から将来の夢を聞かれると、漫画家と答えていました。13歳頃から(マンガの新人賞への)投稿は始めていて、それで賞金ももらったりしていたので「(漫画家に)なれる!」って思っちゃったんですね。それが、中高とコンスタントに投稿していたのに、全然なれないんですよ。(自分の頭のなかでは)高校生くらいでデビューしているはずだったのに、「なれないな……」って思って(笑)。

――当時、投稿していた雑誌というのは?

山本 『別冊フレンド』です。なので、投稿作もストレートな学園少女マンガを描いていました。でもだんだん、その作風のなかで描けるものが浮かばなくなってきて。ちょうど大学受験シーズンにもなったので、ストレートな少女マンガは私のなかでいったん終わって。

――その後、「月刊漫画ガロ」[注1]でデビューされたんですよね。

山本 そうです。98年くらいでしょうか。「RUN RUN HOUR(ルンルンアワー)」[注2]っていう作品で。私がちょうど「ガロ」に持ち込みとかしていた時期は……。

――青林堂[注3]さんが、ちょっと揺れていた時期ですよね。

山本 はい(笑)。当時はそんなことまったく知りませんでしたが。「ガロ」はあこがれの雑誌で、青林堂さんに持ち込み、ということでかなりワクワクしていたんですけど、いざ、編集部の扉をガチャっと開けたら「シーン……」ってもぬけの殻になっていたんですよ。ちょうど事務所が移動してたんです。

――でも、当時の「ガロ」に載っていた漫画家さんは、今も活躍している人が多いですよね。福満しげゆき[注4]先生とか、細川貂々[注5]先生とか。そんな個性派がそろっていた「ガロ」のなかでも、山本先生の「RUN RUN HOUR」は、かなり特徴的な作風だと思います。先ほど、大学受験シーズンの時期までに投稿していたのは、ストレートな学園少女マンガだったとうかがいましたが、このような絵柄・ストーリーの作品を描くようになった理由は?

山本 美大でイラストを専攻していたこともあって、卒業してからしばらくは、マンガから離れて、イラストを描いていました。でも、そのイラストもだんだん1コママンガのようなものになってきて、「やっぱり私はマンガだな」と思ったものの、作風が定まらず、しばらく試行錯誤していたんです。そんな時に、友達から4コママンガを描いてほしいと頼まれて。そこで、気楽な気持ちでそれまで描いていたようなイラストみたいな絵柄で、ふざけた4コマを描いたんです。その時に、「あ、マンガって、こういうのでもいいんだな」って手ごたえのようなものを感じて。その時に使っていたペンネームが「山本ルンルン」だったんです。そこで自分が描きたい方向性が決まった感じです。そこから「山本ルンルン」を名乗り、その作風で描いた「RUN RUN HOUR」を「ガロ」に持ち込みました。

――『シトラス学園 キューティ』の単行本でいうと、「TELEVISION」という短編が、「RUN RUN HOUR」に一番近い時期に描かれたものですね。

山本 「TELEVISION」は『シトラス学園』の前、はじめて「CUTiE Comic」に載ったマンガですね。

「TELEVISION」のワンシーン。最近の作品に比べると、ややネタがブラックかも?

「TELEVISION」のワンシーン。最近の作品に比べると、ややネタがブラックかも?


  • 注1 1964年から2002年まで青林堂が刊行していたマンガ雑誌。白土三平の『カムイ伝』やつげ義春『ねじ式』、内田春菊の『南くんの恋人』など、多くのヒット作を生んだ。丸尾末広、蛭子能収、みうらじゅん、古屋兎丸、泉昌之など、多くの個性的な漫画家を輩出している。
  • 注2 1998年、「ガロ」に掲載された山本ルンルンの商業誌デビュー作。メルヘンな世界で起こる不思議でダークなできごとが描かれる。
  • 注3 「月刊漫画ガロ」を刊行していた出版社で、創業者は「ガロ」初代編集長の長井勝一。1997年に内部分裂が起こり、退社した「ガロ」編集部員の一部が、のちに「アックス」などを刊行する青林工藝舎を設立した。
  • 注4 実話をベースにした作品『僕の小規模な生活』(講談社)で高い支持を得た漫画家。代表作に『うちの妻ってどうでしょう?』(双葉社)、『就職難!! ゾンビ取りガール』(講談社)など。
  • 注5 ベストセラー『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)の著者。子育てやペットを描いたイラストエッセイやマンガなどを多数執筆。

単行本情報

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