365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月19日は「ローザンヌ国際バレエコンクール」が初めて開催された日。本日読むべきマンガは……。
『舞姫テレプシコーラ 第2部』第1巻
山岸凉子 KADOKAWA ¥590+税
1973年の1月19日からスイスのローザンヌ市立劇場にて「ローザンヌ国際バレエコンクール」が初めて開催された(同月21日まで)。
現在は原則として同じローザンヌ市のボーリュ劇場で行われており、2016年は1月31日から開幕とのことで、おおむね毎年1月末~2月初旬に開催される。
ダンサーの登竜門とされ、ほかにもいくつか国際バレエコンクールはあるが、ローザンヌは「若い才能と育成」を目的としたコンクールとして一線を画している。
バレエを扱った作品では「ローザンヌ」は頻出のコンクールであり、日本人が上位に入賞したとのニュースを耳にした人もいるかもしれない。
実際にどのような演技を披露し、バレエダンサーの卵たちの胸に何が去来するのかは『舞姫テレプシコーラ』第2部において、綿密に描かれている。
第1部では小学生~中学生で、気弱なところもあった主人公・篠原六花が高校生となり、奇跡的なビデオ審査通過を経て、ローザンヌへ挑戦するストーリーだ。
参加資格があるのは15歳から18歳までと厳密に決められている(そのため、第1部において、バレリーナとしての頭角を現しながらもケガでブランクができた六花の姉・千花が焦り、悲劇を加速させたとも言えるが……)。
課題のなかから何を選んで踊るかの戦略や、時流によって変わる審査への対応も必要だ。また、バレエ教師も付きそっての渡航となると、予算も相当必要となり、いろいろな意味で過酷なコンクール行きとなる。
さらに、冬の真っただなかに、より寒い地域への長旅が課せられる。
『舞姫テレプシコーラ』第2部は、同行した有望なバレリーナ・野々村茜が持ちこんだ風邪との戦いでもあった。
以前の六花ならば、めげていたであろう事態が次々と襲いがかるが、ローザンヌへの挑戦を望みながらも叶わなかった千花の幻影が六花を励ます。まるで、六花を祝福するテレプシコーラ(合唱詩と舞踊をつかさどる女神)のように。
各国から才能の集まる場ゆえに出会った(再会した、というべき?)天才的バレリーナ・ローラ・チャンの正体についても、もちろん六花の今後も、気になって仕方なくなるはず。
なんと、「Otome continue vol.6」掲載の山岸凉子×萩尾望都の対談において、第3部の構想はあるが、描けない、理由もいえないとの発言がある!
ああ、マンガをつかさどる女神さまがいるなら、どうにかして世に出してくださいホントに……!!
ちなみに、作中の時点では未上陸だったチョコレートのショップ「BLONDEL(ブロンデル)」は、現在日本にも出店している。
未来のバレエダンサーたちに思いをはせつつ、味わうのも乙かもしれない。
<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。