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『ナイショの戸黒さん』第1巻 詩原ヒロ 【日刊マンガガイド】

2015/03/30


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『ナイショの戸黒さん』第1巻
詩原ヒロ 新潮社 \580+税
(2015年3月9日発売)


主人公・東海林信博君は、中学校に進学したばかりのごくフツーの少年。
性に目覚めたばかりで、若干性欲を持て余し気味なところも含めて、いたってフツーの中学生男子です。

そんな東海林君は、隣の席の戸黒マイさんのことが気になって仕方がありません。
戸黒さんは、いつもマフラーをしているちょっと不思議な美少女で、普段は物静かで控えめなのに、どきどきすると性格が豹変。居丈高に迫ってくる戸黒さんに、東海林君は振り回されっぱなし。
ちょっとHなシーンもあって、ああ、中学生の甘酸っぱい青春ドタバタ恋愛コメディ。……なんて思うなよ、お前ら。

なにせ戸黒マイはつねにカタツムリを携えていて、彼女の口腔内はカタツムリのようにぬるぬるでヌメヌメでてらってらの粘膜で満たされている。
このカタツムリと彼女の人格交替には深い関わりがありそうだが、そんなことはさておき、ぬるぬるでヌメヌメでてらってらの舌で、東海林の頬の傷口を舐めたり、指先につけた粘液で間接キスをしたりするのだ。

フェティッシュ! なんというフェティッシュ!!
ぬるぬるでヌメヌメでてらってら、男子だったら好きなんだろう? 嫌いとは言わせねぇぞ、スケベどもめ。

そう、『ナイショの戸黒さん』は、「ちょっとHなラブコメディ」にありがちな、パンチラやラッキースケベのような直接的なエロ表現はないのにも関わらず、ぬるぬるでヌメヌメでてらってらのフェティッシュシーンが満載の、どエロく淫らな第二次性徴学園コメディなのです。

普段の戸黒さんは性に無自覚で、それがゆえに無邪気に東海林君を隠微に誘惑。
一方で、豹変した戸黒マイは東海林の性欲をハッキリと認識し、それでいて積極的に彼を挑発してくるのだッ! 

第1巻のカバーイラストは、普段の物静かな戸黒さんだけど、カバーをめくった本体表紙には、彼女の性格豹変を利用したしかけが施されている点も、見逃せない。
控えめな戸黒さんと、高圧的なマイ。あなたはどちらの戸黒さんと、ぬるぬるでヌメヌメでてらってらしたいですか?

いち読者としては、健全な中学生男子の性癖がどのようにねじ曲がっていくのか、楽し……もとい心配でたまりません。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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