日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『菅野マナミ短編集 良い子さんと不良先生』
『菅野マナミ短編集 良い子さんと不良先生』
菅野マナミ KADOKAWA ¥600+税
(2015年12月18日発売)
ちょっと不思議で、くすぐったい。
甘酸っぱくて、きゅんとする。
そんな小品をぎゅっとつめこんだ、爽やかな短編集をご紹介しよう。
良子(りょうこ)さんは背がちっちゃくてまじめな優等生。だからみんなからは「良い子(いいこ)」さんと呼ばれている。
でも、たまにはそんな呼び名を返上して悪い子になってみたい。
そう思ってこっそり忍び込んだ夜のプールには、水着を着たすごく美人の先客がいた。
ぼそぼそしゃべるその女性に、良子さんはなんとなく心当たりがあって――。
表題作の『良い子さんと不良先生』ほか全10本のショートストーリーは、いずれもメインの登場人物が十代で、どれもがどこか懐かしく共感できる青春物語だ。
少し百合テイストだったり、ファンタジー要素があったりと、それぞれ心おどる味つけがなされている。
清涼飲料水のような涼しげな絵柄も相まって、読後感は抜群だ。
最後の1編はアニメにもなった人気ライトノベル『さくら荘のペットな彼女』のキャラクターである椎名ましろが作中で描いた作品『なのはな荘』だ。
原作つき(『さくら荘のペットな彼女』の著者・鴨志田一が担当)のせいかこのタイトルだけ少し雰囲気が違うが、ザ・青春! と言いたくなるような清々しいお話。
『さくら荘~』ファンの人なら必読だ。
著者の絵柄がもとから好きな人にはもちろん、店頭やサイトで表紙に心惹かれた人にもぜひおすすめ。
ぱっと開けばどのページも美しくて、ついつい見入ってしまう、じっくり楽しめる一冊だ。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」