日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『小学生のヒミツ ともだち』
『小学生のヒミツ ともだち』
中江みかよ 講談社 ¥429+税
(2015年12月28日発売)
実際に小学生から寄せられた疑問に答えながら、マンガのなかでヒロインたちが悩み、問題を解決していく、等身大お悩み相談マンガも7巻目。
ニキビ、ダイエット、生理、クラス内カースト、片想い。
3巻からは「初恋」「初カレ」「初キス」と恋愛の話が続き、今回は「ともだち」という大きなくくりに戻ってきている。
このシリーズで重要なのは、「小学生のリアル恋愛」がインモラルなものではなく、当たり前のものとして描かれていること。
4,5年生になれば好きな男子・女子は当たり前のようにいるし、つきあってみたいなという願望もわく。これを隠すことなく、けれど大げさに煽ることなく、誠実に描いている。
子どもだけに解決を任せず、親の意見も取り入れているのは、大切なポイント。
このあたりさすが、編集部に届いた小学生の真摯な悩みの手紙に沿っているだけのことはある。
男子は美形キャラが多いものの、それなりにバカなのも、等身大だ。
「ともだち」となると、恋愛以上に難しい。
「男子が苦手でしかたない女の子にはじめてできた、男子の友だち」
「幼なじみの大親友と、同じ男子を好きになってしまった」
「今まで仲のよかった友人に、異性としての感情を抱いてしまった」
「転校する前の友だちとは仲がよかったけど、転校先で友だちができない」
小学生ならではの、多くの子が直面しそうな問題……うーん、大人でも解けないぞ、その問題は!?
特に2番目。友だちと同じ人を好きになってしまった。
大人になればなるほど、血で血を洗いそうな難問だ。
これらの問題に、マンガでひとつのケースを示しながら、子どもたちの心を鼓舞していく。
大人が読んでも相当はげまされる。
「世のなかそんなに甘くない」と感じるかもしれない。そのとおりだ。
しかしコミュニケーション不全の悩みの根幹は、大人も子どももなんら変わりない。
シリーズでもかなりとっつきやすい題材の巻なので、お子さんのいる方なら、この巻から親子で読んでみてください。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」