『小学生のヒミツ』第3巻
中江みかよ 講談社 \429+税
(2014年8月6日発売)
小学生女子の悩みを描いていくオムニバスマンガ。
しかし第3巻ではまるまる1冊を使って、ひとりの男の子を好きになった2人の少女の恋愛物語を描いている。
基本は恋愛マンガとしての体裁をとりながら、小学生が陥りがちな悩みを解決する方法を丁寧に入れこんで、「ラブストーリー」と「悩み相談マンガ」をうまく両立させている。
この巻で扱われている悩みは、「空気を読みすぎて行動できない」「ニキビが恥ずかしい」「オシャレの仕方がわからない」など。女子小学生にとって等身大の悩みばかり。そんな悩みは、なかなか誰かに聞けないものだ。
本作はそれらを、女の子たちの恋物語のエッセンスとして、物語の盛りあがり・おもしろさに変換している。
作中で扱われる「悩み」に関しては、講談社「なかよし」編集部あてに送られてくる小学生の手紙から選ばれているそうだ。 やはりリアルな女子小学生の声だけあって、とても生々しい。クラス内カーストの高い少女の前で空気を読んで何も言えなくなってしまう女の子の話など、実際あった話なのだろう。解決策のヒントを読者に教えつつ、ヒロインの少女ががんばる姿に置きかえているのがうまい。
子ども向けの教育マンガは多々ある。そのなかでもエンタテイメントと実践の両方を大事にしている、貴重な作品だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」