『千と万』第2巻
関谷あさみ 双葉社 \600+税
(2014年7月10日発売)
父親の千広と、中学生一年の娘・詩万、団地で2人暮らし。
中学生入りたての少女の心理はわかりづらい。詩万は笑ったと思ったら、ちょっとした会話でふてくされる。生理を理由にわがままを言われた日にゃあ、お父さんなにも言えないですよ。
娘強し賢し。まだ初恋はなし。
一方、お父さんはデリカシーがなく、ちびっこレディの地雷を裸足で踏み荒らす。
ブログに娘の様子を記録したり、部屋の扉を勝手に開けたり。小学生までなら当たり前のことが、中1になるとNGになる、そこに気付けていない。もう、ほんとお父さんたら!
あけっぴろげな2人。なんだかんだで一緒に花火を見にいったり、お父さんにマニキュアを塗ってみたり、たいへん仲がよい。でも、友だち的ではない。
大人の男性と幼い少女の距離感を描かせたらピカイチの作者。団地住まいの親子、しかも母がいない、という状況に限定することで、どのような人間関係がベストなのかを探る、研究発表的な作品だ。
2人がベストにたどり着けず、ベターを選択していくのが、またおもしろい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」