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『おとむらいさん』第1巻 大谷紀子 【日刊マンガガイド】

2016/02/19


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『おとむらいさん』


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『おとむらいさん』第1巻
大谷紀子 講談社 ¥429+税
(2016年2月12日発売)


前代未聞の金魚すくいマンガ『すくってごらん』で、『このマンガがすごい!2015』オンナ編14位にランクインした大谷紀子。現在当サイトにて連載中の、累計75万部超えの恋愛小説『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(七月隆文)コミカライズ版も大人気とノリにノッている。

そんな注目作家の最新作は、“お葬式エンターテインメント”。

ヒロインの音村いづみ(28歳)は売れない女優。美人ではあるのだが幸薄そうな雰囲気のせいか、まわってくる仕事はなぜか死ぬ役ばかり。代表作といえるのは顔が見えない幽霊役、鈍器で殴られて死に、溺死に心中。それでも仕事があるうちはまだよかった!?
ぷっつり仕事が途切れたいづみは、ひょんな縁からお葬式の司会を引き受けることになるのだが……。

現代の葬儀は、故人や遺族の希望を盛りこんだ自由な形式のものが増えている。ただ、それゆえに満足のいく葬儀をつくり上げるのはプランナーの腕次第ともいえる。
葬儀プランナー・産神の「ここには本物の人間ドラマがたくさん詰まってる」という言葉に当初はカチンとくるいづみだが、たしかに彼のつくり出す“お葬式”は、故人と遺族をしっかりと理解した別れの場となっていて……。

涙がこみ上げたあとに、登場人物といっしょに「いい式だったなぁ」と感情移入してしまう!
歩んできた畑は違えど、“場”を全力でつくり上げたい気持ちは人一倍の、いづみらしいアイデアが光るシーンにもニヤリとさせられる。

完璧な葬儀のエキスパートである産神にひかれ、この世界に飛びこむことを決意したいづみ……タッグを組んだ2人の関係がこれからどう変わっていくかも楽しみだ。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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