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2月28日は「あさま山荘事件」で連合赤軍が逮捕された日 『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/02/28


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

2月28日は「あさま山荘事件」で連合赤軍が逮捕された日。本日読むべきマンガは……。


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『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』第1巻
山本直樹 講談社 ¥1,080+税


1972年(昭和47年)2月19日15時すぎ、長野県・軽井沢にある「浅間山荘」に警察に追われた「連合赤軍」の残党が侵入、管理人の妻を人質をとって立てこもった。
世にいう「あさま山荘事件」の発生である。

「きょうのマンガ」では、あさま山荘事件が起きた日についても以前取りあげているので、興味のある方はこちらをお読みいただきたい。

人質救出作戦で多くの犠牲者を出しながら最終的に部隊が強行突入するかたちで事件は収束をむかえ、人質は無事救出、犯人5名は全員逮捕とあいなった。
この日が1972年2月28日。彼らの“革命”は10日で終わった。

冬の軽井沢の山中、クレーンに吊るされた巨大な鉄球が山荘を破壊する“衝撃映像”は昭和を象徴する映像としてたびたびテレビ番組などで紹介されている。
また、彼らの最後の凶行として仲間内のリンチ殺人事件「山岳ベース事件」が発覚し、世間はさらなる衝撃をうけることとなった。
学生運動に端を発した彼ら一党が狂気をはらんだ熱気にあぶられ、山岳ベース事件やあさま山荘事件へと向かっていく様子を描いたのが山本直樹の『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』だ。

1969年の学生運動から「総括」という名のリンチ殺人が起こる1971年12月までを描いた『レッド』の続編となる作品で、ここで描かれるのはタイトルのとおり『レッド』完結直後から1972年2月のあさま山荘事件へ向かう“最後の60日”である。

メンバーの多くが山岳名にちなんだ名前になっているなどフィクションの形態をとってはいるものの、山本本人による徹底的な取材をもとに淡々と、しかしながら丹念に描き続ける本作からは、学生運動の終焉とそれにあらがう若者たちの一種の“負け戦”に向かう心情の推移が見てとれる。
各エピソードで登場人物のその後の運命を示す文章が登場したり、総括の“被害者”に付けられた1から15までの“死ぬ順番”など、予定された結末に向かっている様子を描いているだけなのにここまで心ひかれるのは、著者の卓抜した表現力なのか、それとも新たなる時代の閉塞感に辟易とした若者の声なき抗議なのか?

幸いにして(?)筆者は登場人物のだれにも感情移入できないまま「イブニング」連載を追う日々なのだが、最新号の連載によると作中の時間は「1972年1月28日」となっている。
あさま山荘事件まで残すところ3週間あまり。残された番号つきメンバーも12(苗場)、13(白根)、14(宮浦)、15(霧島)のたった4人……。

折り返し地点を超えていよいよ盛り上がる『最後の60日』。
赤軍サイドからの描かれる『突入せよ! あさま山荘事件』の瞬間も、もう間もなくである。



<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。「仮面ライダードライブ公式完全読本」ただいま発売中の「東映ヒーローMAX」もやってます。

単行本情報

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