日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ムシヌユン』
『ムシヌユン』第3巻
都留泰作 小学館 ¥648+
(2016年1月29日発売)
奇想天外亜熱帯SFの最新刊は、童貞をこじらせた主人公・上原秋人の汗臭いリビドー炸裂祭り!
世紀の天体ショーに端を発した与那瀬島の異変。
宇宙から未知の存在が降りてきたと考えた米国政府は、あろうことか核攻撃を開始。
しかしながら与那瀬島は目に見えないドーム状のバリアに守られ、いっさい無傷だった。
てなわけで、とりあえずはひと安心。本土とは隔絶された島のなかで、上原(謎の生物が陰茎に寄生中)の暴走が再び始まる。
昆虫博士の夢を断たれ、自暴自棄になっている上原の目的はただひとつ。初恋の人、新城かなこをレイプして自殺することだ。
その一方で、尊敬してやまない昆虫博士の西川威一郎先生と邂逅し、昆虫談義をする機会にも恵まれた。一瞬、レイプのことなど忘れて多幸感に包まれる上原だったが、すぐ現実に引き戻され、西川先生との思い出を胸に、新城かなこを犯すべく行動を開始するのであった……って、いいかげんにせい!
セクシーすぎる上原の実母曰く「何があったか知らないが 男のカオになっていたさ 参ったさ」とのことだが、あなたの息子が信念を持って行おうとしていることは、レイプですから! 犯罪ですから!
はたして上原の念願が叶ったのか否かは、コミックスでお確かめください。
終盤には第1巻にチラリと登場して、上原に「おぼえて、ないんですか」と意味深につぶやいたきり、姿を見せていなかった黒髪の美少女が海から現れる。
やはり彼女がなんらかのキーを握っているようだ。さらには巨大化した昆虫たちがキバをむき始め……。ここへきてようやく人類×宇宙人の戦いが幕を開けるのか――!?
風雲急を告げながら次巻へ!
<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)。