日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『伊賀野カバ丸 そりから』
『伊賀野カバ丸 そりから』第1巻
亜月裕 集英社 ¥560+税
(2016年2月25日発売)
幼い頃から人里離れた山奥で修行を積んだホンモノの忍者……だけどメチャクチャ食い意地が張ってる天然のアホ!? 本名は“影丸”なのに“カバ丸”と呼ばれる少女マンガ界空前の異色ヒーロー・カバ丸が帰ってきた!
1979~81年に「別冊マーガレット」「週刊マーガレット」に連載され、大人気を博した『伊賀野カバ丸』の続編が登場だ。
83年に実写映画化、アニメ化もされた大ヒット作。これまでに外伝やカバ丸の息子が大活躍する『伊賀野こカバ丸』が描かれたが、あの頃の、高校生のカバ丸に再会できるのはじつに32年ぶり。当時のファンにとっては感涙ものだ!
じいちゃんに厳しく育てられ、伊賀忍者の末裔にふさわしい身体能力を身につけたカバ丸が都会の高校・金玉(きんぎょく)学院に転入してきて……。
底抜けのアホで食い意地のカタマリゆえに、何かと事件を巻き起こす。
だけど無邪気で素直なその性格はなんとも憎めないのだ。大好物のヤキソバにガツガツ食らいつく姿がだんだんいとおしく思えてくるから不思議。
学院長の娘・大久保麻衣もいつの間にかカバ丸のことを好きになり……しかし、不意に別れの日は訪れる。
本編『伊賀野カバ丸』では、カバ丸とその兄貴分・疾風(はやて)が修行のために山に帰るシーンで幕を閉じるが、本作にはまさに“そりから”のカバ丸が描かれるのだ。
じいちゃんに呼び戻されたカバ丸と疾風が言い渡された“しのぎ”とは? それをクリアすれば再び高校生活に戻れるとあって全力でコトに挑む2人だが……緊迫感漂うシーンでも、空気を読まずに食い意地全開、アホ全開のカバ丸の“あのノリ”はあいかわらず。
カッコよさとしょーもなさが同居する、我らがカバ丸のド派手な立ちまわりをぜひご覧あれ!!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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