日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ほしの女王様』
『ほしの女王様』第1巻
山崎毅宜 ほるぷ出版 ¥570+税
(2016年2月10日発売)
好きなんだけど、どうにもはねっかえりな比嘉葵(ひが・あおい)先輩。
彼女に告白したのを逆手に取られて、すっかり頭が上がらない、とほほな感じの後輩男子・都築鉄(つづき・てつ)。
科学研なのにオカルトにばっかり興味を持って、好奇心走り出したら止まらない葵が好き勝手やるもんだから、鉄は一方的に振りまわされ続ける日々……だった。
学園ラブコメが満喫しまくれる前半。
ところが葵がある事件に巻きこまれてから、すべては一変。
学校で過ごすだらけた日々も、いつもの家庭生活も、何もかもが失われてしまった。
それどころか、地球の危機になりかけているらしい、葵の体のせいで。
彼女は、鉄に言う。
「今の私は何に見える? 人間? それとも……」
事件がでかくなり、多くのキャラクターがわんさか登場する。
しかし物語は、葵と、鉄と、葵を倒すためにやってきたチェルシーの3人に絞られている。
チェルシーは、葵を刺したり切ったりと、ギッタギタにしている。普段は冷静だけど、感情的になると止められない。
鉄は、何が起きているかまったくわかっていない。ただ、葵がとんでもないことになって、何やら危険な予感しかない状況でも、好きな彼女を命懸けで守ろうとしている。
渦中の葵の心は、現時点ではほとんど描かれていない。
おそらく、「葵は人間なのか、別の存在なのか」を、鉄とチェルシーが飲みこんで決断することで、話は動いていくだろう。
人類にとっての最善を、冷静に状況判断できるほど、彼らは円熟していない。葵がなんなのかだれにもわからない今は、感情だけが支えだ。
僕と、あなたの関係。
これが世界の行く末を左右する、カギになっている。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」