365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月15日はサイコの日。本日読むべきマンガは……。
『COBRA 完全版』第1巻
寺沢武一 メディアファクトリー ¥714+税
このコーナーでは様々な記念日をピックアップしているが、なかには「何その記念日?」と言いたくなるような記念日も少なくない。
本日3月15日もそんな記念日のひとつであろう「サイコの日」。
何やら不穏なムード漂う気もする記念日だが、これでも「日本記念日協会」に認定されているれっきとしたものである。
由来は言わずもがな、「3.15」と「サイコ」の語呂合わせだが、「アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』を讃える」というのが本来の意図。
制定は2013年と比較的新しく、じつはこれ、同年に『サイコ』製作の舞台裏を描いた映画『ヒッチコック』が公開されたのがきっかけ。
なので、もちろん「ヤバい異常者を賛美する日」ではありません!
さて、マンガで「サイコ」と言えば、真っ先に『多重人格探偵サイコ』を連想する人も多いことだろう。
しかしこちらは、先日ついに19年にわたる連載が完結したということで、あらためて振り返る機会は別に設けたい。
そんなワケで今回は、もうひとつマンガ史に大きな足あとを残すサイコ……そう、「サイコガンの男」の物語『COBRA』! ヒュー!
しかしこの『COBRA』、いまだインターネット界隈でも絶大な人気を誇る作品ではありますが、ひょっとしていわゆる“ネタ画像”だけで読んだ気になっている人、いませんか?
たしかに数々の名セリフも『COBRA』の大きな魅力ではあるものの、そこだけをおもしろがっているのはあまりにももったいない!
むしろ作品全体にちりばめられたSFマインド、そして正統派のクライムサスペンスと派手なアクションに、ちょっと三枚目のキャラクター性をプラスした妙味こそ本作の魅力。
そしてヴィラン(悪役)も、内臓スケスケの偏光ガラス製ボディでサイコガンが通用しない宿敵・クリスタルボーイを始め、種子を植えつけた相手を操る「植物人間」の殺し屋・ターベージなど、ことごとくエグくて許しがたい存在なのも「最高!」のひと言。
初めて『COBRA』が世に出たのは1978年のこと。
とてもそんな古い作品だとはとても思えない、普遍的かつハンパない先取り感に満ちた作品であることを今一度認識していただきたい。
いっそ3月15日は、「サイコガンの日」ということになりませんかね?
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。