日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『増すコミ』
『増すコミ』第2巻
名島啓二 講談社 ¥429+税
(2016年2月17日発売)
聖ピスタチオ学園の新聞部部長・徳田根(とくだね)サチは報道魂の塊!!
嫌われてる先生ランキング、チョロそうな女子の特徴、部活別カップル成立率など……その内容はかなりゴシップ色が強いが一部では人気もアリ。学園中を回ってはおいしいネタを求めて突貫取材の毎日だ。
そんな彼女の宿敵が、生徒会長の木律(きりつ)まもり。成績優秀でまじめなまもりは、ときにいきすぎな取材方法や盛りすぎな記事に待ったをかけるべく、きょうも新聞部に怒鳴りこむのである。
勝ったり負けたり引き分けたりを繰りかえす2人は、だれよりもお互いを知る存在かも? 敵対しているのに、ときに親友のように見えてくるのがほほえましい。
第2巻では、2人をめぐる脇役たちも、より存在感を示し始めた印象だ。
新聞部に所属することで、常にファインダー越しに女子を狙う正統的な理由を得ているカメラマンの宇鶴(うつる)くん。生徒会副会長だがひそかに会長を失脚させようと考えていることを新聞部に握られている佐羽(さは)くん。
このナンバーツーの2人のぶっちゃけトークもおもしろいのなんの!
6ページのショートコメディながらハッとする瞬間がいっぱい、キャラの魅力が存分に伝わる軽妙なセリフまわしのリズムも心地よい。
「マンガがうまい」ってこういうことかも、と思わされる作品だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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