『蒼き鋼のアルペジオ』第9巻
Ark Performance 少年画報社 \617
(2014年6月30日発売)
2009年より連載開始、2013年にアニメ化で話題となり、今後も映画化が決定している、擬人化海戦マンガの第9巻。
近い未来の世界、各国各地の海に突如現れた“霧の艦隊”。
第二次世界大戦時の軍艦で構成され、謎の超兵器を装備したその艦隊により、世界中の海軍は壊滅。海上を封鎖された人類社会は、崩壊の淵に立たされる。
そんなオーパーツ的な強さを誇る軍艦を操る(?)のは、なんと年端もいかない少女たちだった!
彼女たちは、軍艦の“メンタルモデル”。人間型インターフェイスである。
しかし、軍艦そのものである彼女たちは、やがて人間のように、疑問や悩み、感覚、感傷、感情を持つように。そして単一だった“霧の艦隊”のなかに、群像劇が巻き起こる。
本巻では、これまで行動をともにしてきた、元“霧の艦隊”「伊401」のメンタルモデル・イオナと、日本の元士官候補生・千早群像が、初めて離れて活動することに。
それは主人公・群像とともに坊ノ岬(史実で戦艦「大和」が沈んだ場所!)へ向かう「コンゴウ」の提案だが、その意図とは!?
一方、イオナは囮として、群像のクルーとともにコンゴウ艦隊に攻撃を開始。メンタルモデルとして獲得した人間的な創造性が、経験値の少ない“霧の軍艦”を圧倒する……。
一見、ミリ系萌マンガの鉄板に見えがちだが、侮るなかれ。作家集団Ark Performanceならではの綿密な設定、超精密な画力で描かれる戦闘シーンが、リアリズムとシリアスさをがっちり維持!
軽い気持ちで入れるのに、がっつりハマること請け合いだ。
<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。