365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

3月31日は年度末。本日読むべきマンガは……。

『卒業生 －春－』
中村明日美子 茜新社 ￥619+税

3月31日は年度末。この日を境にして学校年度も切りかわり、最高学年の学生たちにとっては学籍が除籍される卒業の日でもある。
そんなわけで、本日紹介する1冊は卒業をテーマにした作品である中村明日美子『卒業生 －春－』だ。

趣味も性格も異なる2人の男子高校生、草壁光（くさかべ・ひかる）と佐条利人（さじょう・りひと）の純朴な恋愛模様を繊細なペンタッチで描いた『同級生』の続編作品である本作は、高校卒業という大きな区切りを目前に控えた2人の心境の推移を描いたストーリー。

同級生という結びつきの終焉や、それぞれの進路に対する不安など、「卒業」というイベントが含む漠然とした焦燥感に翻弄される2人の姿は、卒業を経験しただれしもが感じたことがある普遍的な葛藤であり、著者のたぐいまれなるストーリーテリング能力も相まって、普段はBL作品を読まない層に対しても感動を与えてくれるだろう。
題材が題材だけに、前作と比較すると少々シリアスな面も含んでいるが、さわやかな読後感はいささかも変わらないのも安心だ。

また、シリーズ1作目『同級生』 は、現在、劇場版アニメーション作品が公開されており、映画を観た後にそのまま本作へと合流することもできるので、この機会にぜひ触れてみてほしい。

＜文・一ノ瀬謹和＞
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。