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『口入屋兇次』第2巻 岡田屋鉄蔵 【日刊マンガガイド】

2016/04/11


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『口入屋兇次』


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『口入屋兇次』第2巻
岡田屋鉄蔵 集英社 ¥600+税
(2016年3月18日発売)


ちょっとなじみのない言葉だが、「口入屋(くちいれや)」とは簡単にいうと、江戸時代の職業斡旋業、あるいは派遣業のこと。
今のように法の整備もなく、かなりダーティな一面があったようだ。その口入屋の裏と表を題材にしたのが、本作『口入屋兇次(くちいれやきょうじ)』。
『ひらひら~国芳一門浮世譚』が文化庁メディア芸術祭推薦作品にもなった、注目の漫画家・岡田屋鉄蔵の時代ものだ。

主人公は、義侠心と冷酷さをあわせ持つ江戸の口入屋の主人・兇次。
彼のもとに転がりこんでくる訳ありの人材を、手下とともにいざこざから救い出し、新たな職を世話して、自らは悪を成敗する……。

第2巻では、命まで狙われた呉服屋の有能な手代・伊助に兇次が手を差し伸べる。
新天地の古道具屋で並外れた才を発揮し、江戸の流行を変えていく伊助。そして裏では兇次とともに色事の達人・三筋(みすじ)や拷問好きの町医者・零次郎といった個性的な手下たちが、伊助を陥れた悪を探っていく。
江戸の経営話と人情話、どちらも厚みがあって読ませる。

残念ながら4月19日に発売予定の第3巻で、このシリーズはひとまず完結になるという。
ただ、作者のツイートによれば、売上によっては第二部再開もないこともないこともない……だそうなので、期待して待ちたい。



<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手がける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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単行本情報

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