365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

4月26日は『七人の侍』公開日、そして王貞治初ホームランの日。本日読むべきマンガは……。

『逆境ナイン』第1巻
島本和彦 徳間書店 ￥533+税

1954年4月26日は黒澤明が監督した映画『七人の侍』の公開日であり、1959年の同日は野球選手・王貞治が初ホームランを打った日である。

一見すると、まったく関係なさそうな2つの事柄だが、この2つを結びつけるマンガが本日紹介する作品、島本和彦の『逆境ナイン』だ。

近年では自伝的作品『アオイホノオ』のドラマ化や、特撮ヒーロードラマ『仮面ライダーゴースト』でのクリーチャーデザインなど、多方面での活躍をみせる漫画家・島本和彦の代表作とも言える本作は、野球部の廃部撤回を目指し甲子園優勝を目指す高校球児・不屈闘志（ふくつ・とうし）が様々な「逆境」と戦う様を熱血かつコミカルに描いたもので、ドラマCD化や実写映画化なども果たしている人気作。
「自信たっぷりの言いきりを大ゴマで魅せる」という著者独特の作風の源流となった記念碑的な作品としても知られている。

中間試験に失敗し部員不足に陥った全力学園野球部は即戦力の新入部員補充のため、『七人の侍』を参考にした「無防備状態の通行人を襲撃し、咄嗟に対応できる強者を探す」という危険な入部テストを画策。
だが、逆にその入部テストで野球部員・ハギワラを返り討ちにした男が、王貞治にそっくりな外見を持つ少年・亀谷万念だ。王貞治がCMキャラクターを務める菓子「ナボナ」や「森の詩」、コーヒー「J.O.」を常食し、王貞治が現役時代に使っていたバットを所持しているという熱狂的な王貞治ファンである亀谷は、一時は巨人軍の応援活動で忙しいという理由で入部を拒否するものの、不屈との決闘の末に、外見だけではなく王貞治の生き様自体を追うことを決心。野球部へと入部する。

偉人の残した業績や芸術作品に感動することはよいことだが、もっとも重要なのはその感動のエネルギーを人生にどう出力するかということ。
『逆境ナイン』読破による熱量をうまく活かせれば、王貞治や黒澤明のような偉業を残すことも、夢ではないかもしれない!?

＜文・一ノ瀬謹和＞
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。