日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『左門くんはサモナー』
『左門くんはサモナー』第3巻
沼駿 集英社 ¥400+税
(2016年4月4日発売)
悪魔を召喚できる左門くん。序盤ではそこそこ強そうだし、実際今でも強い、はず。
だが巻を重ねるごとに、びっくりするくらいクズ度があがっている。
ボーリングでは悪魔を呼んでズルをし、生徒会選挙を荒らすためにズルをし、マラソンで勝つためズルをする。
基本悪魔を呼び出すのは、自分のためだけ。欲の皮を張りすぎて、学校のみんなからカス扱いされているが、それでもやっぱりズルをして周囲をひっかきまわす。
人間性とメンタルと体力面で、ここまで最弱の主人公もめずらしい。
もうひとりのキャラクター、天使ヶ原(てしがわら)さんは、行動がすべてポジティブで、みんなの助けになる少女。天使あるいは仏と呼ばれている、慈悲の人。
欲がなく、すべての人を受け入れる姿勢なので、あらゆる人に好かれている。善良の権化だ。
なぜか2人は常にいっしょにいる。ケンカした相手同士にしかわからないような、2人だけのちょっと変わった友情が芽生えている様子。
第3巻では、左門くんに激しく恋をするぼっち大悪魔アンリ・マユ(表紙の子)の活躍が目を引く。
ものすごい長生きの強力な悪魔なはずなのに、とにかくさみしがりや。友だちがいない。
初めて友だちになった天使ヶ原さんと仲よくし、はしゃいでいる様子のかわいさときたら!
ラウンドワンで顔を真っ赤にしてそわそわしている彼女、それを見て一緒にほほえむ天使ヶ原さん。
唐突に学校に編入し、友情を学ぼうとする姿もたいへんキュート(すぐやめるけど)。
それに対して、「友だちってのはな、心だぜ」と、あっさいセリフをドヤ顔で言う左門くん。お前友だち少ないだろ……。
もうこうなったらとことんまでクズになってください。そのほうがおもしろいです。
でもせっかくなので、3巻みたいにたまにかっこよく決めてね。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」