365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月6日はジャンヌ・ダルクの誕生日。本日読むべきマンガは……。
『Fate/Zero』第1巻
虚淵玄(ニトロプラス)/TYPE-MOON(作) 真じろう(画) KADOKAWA ¥560+税
1月6日は、フランスの英雄として名高い、ジャンヌ・ダルクの誕生日といわれる日である。
ジャンヌは、12歳のときに「神の声」を聞いたことで第六感に目覚め、当時フランス国内にて起きていた百年戦争に参戦。
先陣を切って兵士を率い、イングランド軍に包囲されていたフランスの都市・オルレアンを解放したことで、オルレアンの乙女と呼ばれるようになった。
英雄として活躍しながらも、最終的には異端者として火計に処される最期という彼女の壮絶な人生は人々の胸を打ち、10代にして兵士を率いる勇猛さと、神を信じる純真さが共存している人物像は、現在でも人気が高い。
いまだ、フィクション・ノンフィクションを問わず、様々な作品の題材となっているのが、その何よりの証明だろう。
今回は、そんなジャンヌへの愛によって狂わされた、ひとりの男が登場する作品を紹介したい。
古今東西の英霊たちを、セイバー、アーチャーなどのクラスに当てはめた「サーヴァント」として魔術師が召喚し、万能の願望機「聖杯」の争奪戦を繰り広げる「聖杯戦争」を描く『Fate』シリーズのなかの1作『Fate/Zero』。
本作では、ジャンヌの側近として数々の戦いをともにしていた、ジル・ド・レェが魔術師のクラス「キャスター」のサーヴァントとして登場する。本作でのジル・ド・レェは、ジャンヌに仕えていた騎士時代ではなく、ジャンヌが処刑されたことで狂気に走り、殺人鬼と化した時代の姿で召喚されている。
狂気に堕ちてもなおジャンヌへの想いは変わらず、聖杯にかける願いは「聖処女ジャンヌ・ダルク復活」。
しかし、セイバーのクラスで召喚されたアーサー王が可憐な女性騎士であったことから、彼女をジャンヌ・ダルクと誤解。願いは果たされたとして、聖杯そっちのけでセイバーの追跡と、趣味である一般市民の殺害に夢中になっていく。
マスターである雨生龍之介が生粋の殺人鬼であったこともあり、相性バッチリなキャスター=ジルはその行動に反して幸せなパートナー関係を築いていたのだが、とうとうジャンヌの復活という願いは叶えられずじまいに終わってしまった。
しかし、2015年にリリースされたAndroid/iPhone用の『Fate/Grand Order』内において、ストーリーの第1章に当たる「邪竜百年戦争 オルレアン」でジャンヌとの念願の再会を達成!
生前のことを考えると、狂気に走る姿には哀れさすら感じさせていたジルだが、ジャンヌとの共闘がかなったことで、最高に楽しそうな姿を見せている。
ジルまわりの逸話が好きで、まだプレイしていないファンの方がいるならば、ストーリーだけでもやってみて損はないだろう(ガチャの厳しさに涙するかもしれないが……)。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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