日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『はだかの林檎』
『はだかの林檎』第1巻
山崎紗也夏 日本文芸社 ¥593+税
(2016年4月18日発売)
ヒロインは34歳の沢村林檎。酔った勢いでうっかり7歳年下の部下・風間裕介と「正しい場所」(注・ホテルの名前です)へIN!
以降、2人は肉体関係メインの逢瀬を続けている。
松坂桃李と木村文乃のタッグで昨秋放映されたテレビドラマ版も記憶に新しい、連続殺人サスペンス『サイレーン』の次に山崎紗也夏が手掛けたテーマはズバリ“エッチ”。
掲載誌が男のバイブル「週刊漫画ゴラク」ということもあるが、あとがきによると『サイレーン』は乾いた感じを出すため主人公・猪熊夕貴と里見偲のエッチシーンはナシ、という不文律があったそうで、その反動もあったようだ。
てなわけで、クールでピリピリと張りつめた前作とうって変わって、思いきりみずみずしく弾けた作品が誕生。男性に身をまかせるだけのエッチにウンザリしていた林檎が、ベッドの上でも主導権を握れる部下との快楽に溺れていくのだが、淫靡な感じはいっさいなく、かけひきも含めて、あくまで明るい作風で読者を楽しませくれる。
「年上の女上司がイケメンの部下を性の玩具として扱う」といった背徳感はあるが、そもそも林檎も風間も独身であり、後ろ指をさされるような関係ではないのだ。
身体から始まった2人が単なるセフレで終わるのか、ラブラブになるのかは読んでのお楽しみ!
基本的にベッド上が舞台なので、山崎流の“くんずほぐれつ”がバリエーション豊かに描かれる。企画段階では“四十八手”をやりながらストーリーを進めていくなんて案もあったとか(担当編集者から却下されたとのこと)。
34歳にして、どんどん新しい快楽に目覚めていく林檎が最高にキュートだ。
とりあえずこの第1巻で林檎と風間の物語は終了。ナンバリングがついているので、次巻以降は別のヒロインが登場するのかな?
楽しみに待っております。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てライター。5月14日公開の映画『殿、利息でござる!』の劇場用プログラムに参加しております。
観てね!