『サイレーン』第5巻
山崎紗也夏 講談社 \552+税
(2014年9月22日発売)
元機動隊の里見と警察一家で正義感の強い猪熊は、県警機動捜査隊でバディを組み、私生活でも恋人同士。そして事件現場に現れ、猪熊に興味を持つ、殺人鬼の橘カラ。
この3人を中心に展開されるサスペンスが『サイレーン』だ。
綿密な取材による警察の姿や事件の説得力の高さと、著者独特のキャラクターの表情や佇まいが、サスペンスとしての緊張感を高めてくれる。
特に、橘カラの心理描写と不気味さは、山崎紗也夏ならではと言える。
1話と1話の間に入る警察関連のコラムは、過去に「フライデー」で事件記事を書いていた担当による執筆ということが、巻末のオマケマンガで発覚。コラム自体もおもしろいが、その知識がマンガに練りこまれていると考えると、「サイレーン」の完成度の高さがうなずける。
<文・岡安学>
デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。