365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
5月15日は「青春七五三」の日。本日読むべきマンガは……。
『青春は薔薇色だ』
桑田乃梨子 白泉社 ¥379+税
5月15日は日本記念日協会が定めた「青春七五三の日」だ。
七五三から10年経過した、13歳、15歳、17歳の青春期の中高生にエールを送る日。11月15日が七五三なので、そこから半年ずらした日となっている。
しかし、思春期真っ最中の多感な年齢に、親子のイベント感が強い七五三をあわせるとはミスマッチ感が拭えない。
ならば、「青春」の照れくささも「七五三」のほのぼの感もあわせ持つ生徒たちのラブコメをたくさん描いてきた漫画家・桑田乃梨子の作品のなかから、『青春は薔薇色だ』を取りあげたい。
連作読み切りシリーズで、続くサブタイトルの多くに「青春」が含まれるのもぴったりだ。とはいえ、そのひとつが『君の青春は輝いているか』(『超人機メタルダー』のオープニング曲名と同じ)なんてネタが、80年代末の「LaLa」読者のお嬢さんたちに通じたのかは不明なのだが、それはさておき。
森島恵子は新米の体育教師で、ひそかな(おもに女子の)制服マニア。ただし眺めるのが好きなだけで、実害はない。
天職として教師ライフを謳歌しつつ、生徒のなかでも特にお気に入りだった美少女・本橋尚枝と、自分とケンカ仲間だったサッカー部の男子生徒・広瀬幸仁をくっつけようと画策する。
しかし、自分が本当に好きなのは広瀬だと気づき、仲のよかった同僚の北先生を振り、無理は承知のうえで告白するが、結果は意外なもので?
広瀬も尚枝も、モテて恋愛も大切にするが、将来を見すえているしっかり者でもある。「青春七五三」は社会性を身につけることも目的としており、まさに理想像だ。
そのぶん、広瀬から借金をして制服写真集を買う森島の大人げなさが際立つのだが。
北先生が悩む広瀬にいう「青春はね 神さまからもらったお小遣いのようなものだから どう遣おうとそれは貰った人の自由なんだよ」との言葉も胸にしみる。
シリーズ後半は北先生の話もあり、こちらもなごむラブストーリーだ。
森島ほどに濃い趣味はなくとも、「制服」は特別なもの。身を包んでいる当時は大人のお仕着せと反発しても、制服姿で記念写真を撮っておいたほうがいい。
歳を重ねてから、見えないおこづかいを持っていた頃をふりかえれば、きっとまぶしく感じられるはずだから。
<文・和智永 妙>
『このマンガがすごい!』本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。