このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

『座敷牢の女』 津雲むつみ 【日刊マンガガイド】

2016/06/10


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『座敷牢の女』


zashikirounoonnna_s01

『座敷牢の女』
津雲むつみ ぶんか社 ¥602+税
(2016年5月17日発売)


『彩りのころ』『闇の果てから』『風の輪舞』『花衣夢衣』……数えあげればきりがない、数々の愛とせつなさに満ちた女の物語を紡いできた津雲むつみは来年(2017年)にデビュー50周年を迎えるという。

今も第一線で活躍し続ける大ベテランの最新刊には、官能の香り高い大人のサスペンスドラマ3編が収録されている。

タイトル作「座敷牢の女」の舞台は明治時代。
父の実家を訪れた少年・郁太郎は、決して近づかないようにと言われていた、屋敷の離れの座敷牢で赤ちゃんを抱いた美しい女性に出会う。なぜ、その人はこんなところに閉じこめられているのか?
その晩から郁太郎は高熱を出して寝ついてしまうのだが……。

愛の苦しみは人の心を狂わせ、その執着が人智を超えた怪異を呼び起こすこともある。

義に厚い人も、自分の心にだけは嘘をつくことはできず……それがたとえ許されないものだったとしても、色恋は倫理観だけで正しい、正しくないと判定できるものではない。
それぞれの立場や事情に縛られながら、それでも心だけは自由。
いや、だからこそよけいに愛に苦しむ胸のうちを、津雲むつみはドラマティックに描き出すのである。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

  • 『座敷牢の女』 Amazonで購入
  • 『空と海と蜃気楼と』第1巻 Amazonで購入
  • 『空と海と蜃気楼と』第2巻 Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング